日本に棲む淡水魚と遊ぶブログまとめ

鵜飼という伝統

私の住む安芸高田という場所は広島県の中央あたりに位置し、東西南北、色んな方面に出かける人間には意外と都合が良い部分もあったりする。

 

三次なども普段から気軽に行ける位置取りのため、今回もなんとなしに鵜飼を見学に行ってみようということになった。なんとなしにというのは、前々から興味はあったが何日もかけて計画を練るほどの情熱もなかったからだ。

 

川で行われる漁というものに対する漠然とした憧れはあったが、なんとなく格調高く敷居が高いイメージを勝手に持っていることなどから、興味を持ちながらも今まで積極的行動に出ることなく今日に至っていた。

 

鵜飼は今現在、日本各地で行われているが、ここ三次の鵜飼は何百年も昔に長良川を手本として始めたのが最初だという。日本各地でやられている中で、鵜飼船と並走してつきっきりで見れるのはここだけというのがウリとなっている。

 

私個人的に、こういったものを楽しむときには基本的に人が少ない平日を狙っていくことが多い。だが今回は思い立ったが吉日とばかりに申し込みをしてしまったこともあり、金曜という最も混雑する日を選んでしまった。2〜3日後には台風上陸とも言われているため、天気のいい中で見れる数少ないチャンスと思ったからでもある。

 

そのせいもあって観覧客は多く、子供の団体やサラリーマンの団体など、多くの人で船上が賑わっていた。街中で座ってじっとしていると汗蒸してくるほどに暑い時期だが、水に浮かぶ船上で過ごすにはちょうどいい時分で、時折そよいでくる風が心地いい。

 

このあたりを流れる馬洗川(ばせんがわ)は川幅広く、中国随一の河川である江の川の一支流であり、女性的なやさしい川である。余談だが、昔はこの川沿いにワニが流通していたため、このあたりにはワニを食べる習慣がある。

 

川は広いとはいえ、恐らく昔と比べると魚の住環境などの規模の縮小は容易に想像できるところである。今現在、ここでの鵜飼漁は生業としては認められておらず、専ら観光業としてのみ認められている。鮎をはじめとする魚の数が減少しているためで、漁可能な範囲も昔よりぐっとせまくなってしまっているという。

 

そのため、鵜匠の数も少ない。ここ三次では現在3人の鵜匠だけで鵜飼が行われ、年齢も30〜40くらいと若め。鵜飼はシーズン限定の漁でもあり、それぞれ別の生業をしているとのこと。

 

ともあれ、まずは鵜飼を楽しんでみよう。受付は19時からなのだが、暗くなってからでないと漁はやらない。明るいうちにやってしまうと、鵜が色んなものを見てしまうため集中して狩りをしないからだ。暗くなってからカーバイトの明かりのみを点け、その一点に集中させて漁をさせるというスタイルでようやく鵜を意のままに操ることができるそうだ。

 

暗く揺れる船上であるため、あまり写真には期待できないだろう。そのため、まずは自分が見て楽しむことを目標とした。終了後は鵜匠や鵜と記念撮影などでき、思ったよりも親しみやすかった。

 

私が最も興味を持ったのがこの日、鵜たちが獲った獲物である。右の写真のような感じで、雑多な種類が獲れている。ざっと見た感じでもアユは当然のこととして、ウグイ、オイカワ、ムギツク、カマツカ、フナ、バス、ニゴイ、ハヤ、タナゴなど。ここしばらくでの変わり種といえば、ドイツゴイというものも獲れたそうだ。

 

意外なことにカワムツらしき魚はぱっと見では見当たらず、ここ数日私が通う太田川水系に見られる魚種と微妙な違いを感じることができる。最も多く見られたのがオイカワで、逆にこちらは太田川水系ではあまり見かけないように思う。普通、お客は鵜に集まってワイワイガヤガヤするものであり、羽を広げて乾かしている鵜と写真を撮ったりするのが定番となっている。

 

ここで淡水魚に興味を示す客はほとんどいないようで、獲れた魚を名前を挙げながら吟味している我々の姿は船頭、鵜匠にとっても珍しかった様子で、すっかり話し込んでしまった。

 

このへんでは未だにオオサンショウウオなども見られることがあるなど、好きな人間にはたまらない環境であるといえる。船頭と気軽に話せ、過去や現在の鮎漁の話など、実際の現地の人間しか知り得ない貴重な情報を聞けることが何より楽しい。

 

今度このへんに雑魚でも釣りにこようかな。

 


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