日本に棲む淡水魚と遊ぶブログまとめ

闖入者

ほとんど恒例になりつつある夜の散歩に出かけてみた。

 

朝、散歩。夜、散歩と何やら急激に年寄りじみた生活に変化している感がある。しかし、朝は朝で空気がうまいし、夜は夜でまた違う良さがある。都会と違って街灯は少なく、また散歩といっても国道などを歩くわけではないため、暗い場所を好んで歩く。そうすると、ほんの少しの生き物の気配に敏感になったり、自然を感じながら運動もできるので一石二鳥だ。このあたりではシカの親子などもよく見かける。

 

毎回散歩ルートは変えているが、今日は家のそばにある小川のルートを初めて歩いてみた。川のせせらぎや虫の声に耳を澄ませながら進んでいると、暗い川の中に真っ白な動く物体を見つけた。近くに橋がありそこに一つ街灯が点いているが、そのほか辺りは真っ暗で、周囲にあるわずかな光を一点に集めたかのように白光りする大きな魚影。

 

正体は錦鯉だ。そのあまりにも周囲と調和しない光景にしばらくの間目をそらすことができなかった。

 

今、日本各地で錦鯉の河川への放流が盛んだという。それも一個人が行うのではなく、それなりの団体や自治体までもが積極的に行い、庶民に親しめる川として誇りに思っている風潮さえあるらしい。環境改善を謳ったある記事では「錦鯉が住めるなんて綺麗な川になったんだね」という第三者のコメントなども紹介されていたりする。

 

確かに、日本人の心の中に錦鯉というものは肯定的な存在であることに意義を挟む余地はないと言える。故郷の風景として、誰もが想像しやすい光景だろう。しかし、同時にそれはあくまで庭の池に放たれている存在としての錦鯉であるべきだと私は思っている。

 

どうやら、ニュースや記事を見ていると、錦鯉を放流する風潮に対して賛否の声が挙がっているらしい。賛成意見としては概ねこうだ。「地元住民との合意の上で行っている分には少々生態系を変えることになろうが問題ない。それに生態系への影響も言われるほどないのではないか」

 

さすがに上の記事は掲載者にとって都合の良い切り取り記事の感がないでもないが、つまり、錦鯉を放流することで生態系が変わるという想定を当然織り込み済みの上でやっている、というふうにも受け取れる。恐らくだが、環境問題や生態系への知識が一般的にもある程度広まっている現在、「ブラックバスを放流することは良くない」というぐらいのことは、理由も含めて大方の人は答えられるのではないだろうか?

 

理由は、元々いる地付きの固有種を根絶やしにする可能性がある、というのが一番おなじみだろう。しかし、「鯉」というものに対してちゃんとした知識を持っている人間からすれば錦鯉はブラックバスよりももっとタチが悪く、通り道にいる生きものという生きものを全て食べてしまう。その場にいる固有種を食べるどころか、固有種の卵までも食べてしまう悪食の魚というのは常識である。

 

また、錦鯉が住める=環境改善、という図式は無知であることの証明にしかならない。なぜなら、「鯉が棲めない川は最悪」という言葉があるぐらい、鯉は環境に強く、水さえあればよほど汚染されたドブ川でも生きていける種であるからだ。さらにいえば、錦鯉というのは交配種で、本来の環境には存在しない外来種だということ。

 

以上の諸々で私が反対の意見を持っているということは言わなくても伝わっていると思う。そこへきて、散歩中に見かけた真っ白の物体。そこで私が感じた違和感を例えるなら、登山中に野生のミニチュアダックスを見たようなものであり、見つけてハッピーとはならないものだった。

 

本来テーマにしようと思っていたことから話が脱線してしまった。錦鯉に気をとられすぎてしまったが、私が今日注目したものは川べりに飛び交っているカゲロウについてである。昔からセミと並んで儚さの代表とされてきたような虫で歌詞にも多く使われている生きものであるが、初夏に多く羽化したカゲロウが飛び交うことで、本格的な夏の到来を感じさせる私の大好きな虫である。

 

カゲロウは幼虫の頃を川の中で過ごす。見た目はグロテスクかもしれないが、噛むこともなく全くの無害だ。無害などころか、幼虫の頃も成虫になった後も常に魚のエサになっている、本当に弱い虫なのだ。時間をかけて羽化しても産卵後数時間で死んでしまう哀しい種なのである。

 

夜の散歩にも色んな発見があっていいものだ。そう思いながら家に入ると、どこからか私の服に停まっていたのだろう、カゲロウが部屋の中に飛び立った。アップで撮ってしまうと虫嫌いの人には気持ち悪いかもしれないが、無害なのでもし川の傍で見つけることがあれば夏の到来と儚さを感じていただければと思う。


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