生きもの調査3
私にとって広島県内で一番深い場所といえば細見谷近辺を差す。植生でいうと、ブナ・トチ・サワグルミ・ミズナラなどの貴重な広葉樹がわずかに残されてあり、淡水魚種も未だ豊富だと信じる。
谷への入口となるのが旧吉和村であり、十方山に抱かれるようにしてわずかな自然が守られている印象があった。
もう何年も前に林道を作る作らないでニュースになっていたが、結果的に現段階では作らないことにより、かろうじて中国地方随一の貴重な自然林が残される形となったのだそうだ。
また、このあたりは中国地方で唯一になったといつかのニュースで目にしたが、ツキノワグマの生態系が保たれている場所で、渓流にはゴギも棲む。
ゴギというのはイワナの一種で、中国地方のごくわずかな範囲にしか存在しない貴重な種である。本州にあっては、基本的にイワナは関西以東の高山域にしか生存していないが、唯一の例外として西に存在するイワナがこの種である。
広島に帰るならゴギをたくさん観察しないと意味がないと言っても過言ではないほど、楽しみにしていた。ただ、私も実のところ、数度見たことがある程度で、まだ深くまでは知るに至っていない。
手にした吉和の釣りマップによれば、ゴギが釣れるのは細見谷の上流部のみのようだ。手探りの調査になるだろうが、まずは細見谷を沢登りし、十方山を一周するようなことから入ってみることになるだろう。
今回は、その細見谷から最も近い区域となる匹見という場所で調査を行ってみた。ちなみに前出の吉和釣りマップによると、ここの釣り対象魚はアマゴしか生息していないようだ。
現地に着きさっそく潜ってみることにした。まず、広島県内の川原まで車で侵入できる場所として、最も水が綺麗な場所となるとここらあたりしかないのではなかろうか。
それだけに、最奥感こそあるものの、マナーの悪い人による汚染が目立ってもいる。今回一番驚いたのは、とても透明度の高い綺麗な渓流の中にバーベキューコンロが捨てられていることであった。
さらに目にしたのが、引っかかって切れてしまった釣りの重りなどだが、明らかに海釣り用の重量感ある重りであるなど、山川に対する知識が全くない人が訪れているケースが多いように感じられる。焚き火跡も至る所にあり、そのそれぞれが新聞紙や段ボールなどの燃え残しがそのままに放置されてあるなど、残念なものも目にする。
期待とともに潜ってはみたものの、魚としては期待通りとはいかず、私が目にしたのはアマゴ、カワムツ、タカハヤ、ヨシノボリ、カジカだけであった。中でもタカハヤの割合が非常に高く、本州の他のどこにもみられるようなウグイ王国ではないことが特徴といえば特徴だ。
あわよくばゴギ、アカザなどと出会いたかったと思いつつ川を後にする。次の瞬間、バケツをひっくり返したような雨に襲われ這う這うの体で帰宅する。テレビをつけると1時間に110ミリの記録的集中豪雨だった。
いつになったら雨男の称号を返上できるだろうか。
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