前回のブログからの続きを紹介していく。今回のキャビネットを設計するにあたり最も苦心した部分は微調整の部分であると説明したかと思うが、そのうちの一つの要因となったのが冒頭の写真でわかる。
このキャビネットを設置する位置にこの3口コンセントがあることにより、完成の形が大きく変わることになった。作者的にはこのキャビネットは見た目重視というよりは機能性重視としたいというところを出発点としており、このコンセントがなければもっと収納部分を充実させることができたろう。
ちなみに、このコンセントはあまり使用率が高くなかったのだが、今回このキャビネットを作ることでようやく充分な働きをすることができるようになる。これまでだとシンク台についているコンセントで使用していたコーヒーメーカーやミキサーなどを常に置いておくことができるようになる。
本来それらの機械類はシンク台に置いておくものではないのだが、こういった場所がないためやむを得ずそうなってしまい、それによってシンクが手狭でいつも物がごちゃごちゃしている印象が強かったのである。
さて、前回のラストからこのキャビネットの側部分だけを組み立てているように見えていた。ここでようやく天板の骨組みをしていくこととしたのだが、ちょっとやってみたところでかなりガッカリする結果となってしまう。
右の写真をご覧になればすぐわかると思うが壁の中央あたりが膨らんでおり、柱間に材が張れない状態ということがわかった。設計段階ではこの天板の骨組みはそれぞれの柱にビスで固定するということを前提としていた。
ただこれを見るとそうもいかないことがわかったため、すぐさま方針を変更。基準となる柱を写真奥の方と決め、もう一方の柱にはなにか適当な材をあてて固定することに変更することを余儀なくされる。
そんな感じでこのキャビネットの骨格となる材を全て固定したのが左の写真だ。先に側の部分を柱にビス固定と書いたが、このキャビネットでビスを使ったのはその部分のみで、前回のブログでも書いた通り残りの部分は全てホゾ組みによる。
また、設計で苦労したと散々お知らせしてきているが、この写真でいうと実際に建具が入ってくる部分(見た目でわかるのは手前下の横材)には全て溝をあらかじめ彫っている。
その他の苦労としては下の横材の違いを見てもらいたい。手前側は溝が彫られていて建具が入ってくるというのは繰り返しの説明になるが、奥側の天面には塗装がされていないのにお気づきだろうか。
これはこの横材の上に天板が重なってくるからで、しかもその天板と手前側の材をツライチにするために横材は高さを天板ぶん下げてとりつけてあったりする。このあたりの細かい寸法設定などは思った以上に神経を使った。
そしてようやく外観が仕上がったのが右の写真。当初思っていたより数倍の時間をかけてしまったが、これで今回のキャビネット自体は完成となる。自体、というのはこれに付随して少し別の作業が必要であったからで、それは後段にて紹介する。
ちなみにこのキャビネットは実際には4カ月ほど前に完成しているため、完成後の具合などもある程度わかっているのだが、先にお伝えしておくと今回の引戸の収まりについては反省点が多い。
完成当初はスムーズに扉の開閉が出来ていたのだが、エアコンの下にあるため冬を越すまでの暖房の影響をモロに受けて変形してしまったことと、設計に問題があったと認めざるを得ないが2間の長さを60角で柱もなく通したため、天板側の横材が中央あたりで下に垂れ下がることになってしまった。
それによって扉の開閉がかなり窮屈になってしまっているため、またどこかで戸車なりの微調整を行う必要がありそうだということをお伝えしておきたい。今後の参考にされたし。
また、失敗繋がりで前回のブログにて触れていたツヤなしニスだけを塗った弊害がおわかりだろうか。キャビネットの天板だけ全く違う色合いになっていてかなり浮いてしまっているから一目瞭然だろう。
本来であればこんなミスは可能な限り修正しておくのがこれまでの作者のスタイルだったが、今回に限りもうこれで良しとしておこうという気になっていた。その一番の理由としては、完成後この上には常にテーブルランナーのような敷物を設置することになるからである。
そして左の写真は先ほど説明したこのキャビネット作成に付随した作業のひとつがわかるもので、水屋だったスペースの壁にこれまでにはなかった木の板を固定しておいたものだ。
これまでだとこのスペースには大きめの食材や常に多めにストックしてある水など比較的大きなものを保存しておく場所だったが、このキャビネットが完成することによって作業のしにくいデッドスペースと化してしまうため、別の用途に使うことにした。
今回のブログでは写真が間に合わなかったため掲載できないが、このスペースには後日有孔ボード(小さい穴がたくさんある板)を固定してものを吊り下げておく場所にしている。
さらにこの水屋スペースをより有効活用するため、普段開いていたスペース(棚から反対側の垂れ壁あたりの空間)に新たな棚をつけておいた。これは利用率が低いが倉庫に入れるほどではないようなものを収納することにした。
実際に収納したものは卓上ガスコンロやBBQ用の食器一式などで、これまでは通常使う食器やコップなどと同様に置いていたためこれでようやく置くものの整理が進んだ。
以前にお話ししたかどうか定かではないが、今回使った棚用の板は超お買い得だった2メートルものの集成材で、1本2千円前後だったため数枚買い置いていたもの。こんな感じで必要な場所に気軽に簡単に収納棚が設置できるのはありがたい。
さて、そこまで終わったら次は最後の仕事を施しておいた。写真を見ればわかる通り、このキャビネットの上あたりがどうものっぺり感があったため、とっさの思いつきで以前の記事で紹介した茶箪笥を固定してみた。
この茶箪笥はかつてここの水屋を作ったとき、棚の間にちょうど収まる手ごろなサイズのものを探してリユースショップで購入しておいたもの。今回水屋のスペースに手を加えたのに伴い一番下段にあたる棚を解体したため、どこに使用するか検討しており、結果としてまずまずの使途ではないかと思っている。
そんな感じでサイドキャビネットとその周辺のリノベーションが終了した。最後の写真ではまだ有孔ボードの設置ができておらず、水屋棚の下のスペースも完成していない。
棚の下のスペースにはこれまで同様、水などの段ボールを積み上げて保存する場所とするが、正面で目立つ場所であるため、ここにも布を垂らして少しでも見た目を良くしておきたい。が、それはまた後日のことで紹介するほどのことでもなさそうであるため、これにて周辺の作業も終わりということにしたい。