久々の瀬戸大橋
渡るのは何年ぶりだろう。
今日はまずまずの天気なこともあって少し遠くまで足を伸ばしてみた。久々に渡る瀬戸大橋は風が強く、運転中何度も右に左にハンドルをとられてしまう。「瀬戸大橋ってこんなに長かったっけか」とこぼしながら香川は高松にある「四国村」という場所を目指す。
四国村というのは四国圏内にかつてあった古民家を一つ処に移築し、展示してある村の総称で、四国の伝統と文化に触れることができる人気スポットとなっている。ある一個人が文化財を残したい思いから始めたと聞き、一度見にいきたいとかねがね思っていた場所だ。
過去に川崎の民家園に行った際、どうせ色んなところで画像は手に入ると思い写真を撮っておらず、後悔したことがあった。当時まさか将来自分がセルフリノベーションをすることになろうとは思ってもなく、時間をかけて見て回った割に記憶に残っているのはほんの少しだけだったのだ。
四国村の規模は民家園ほどではないにしろ、種々の建物の造りや収まりを観察して今後に活かしていこうという裏心もある。移動にかかる所要時間は4時間程度と予測していたが、朝8時に出て11時頃には現地に到着してしまった。予定を早め先に早い昼食を摂ることにした。
短絡的だが、やはり香川に行くからには讃岐うどんを食べたいということで、四国村の入口におあつらえ向きのようにある「わら屋」という地元でも人気のうどん屋ののれんをくぐる。実際使っているのかどうかは確認しなかったが、店隣に水車小屋があり、勢いよく回っている水車がうどんを挽いていることを連想させた。
讃岐うどんには忘れられない思い出がある。学生時代、自転車での旅をすることがライフワークだった時期に友人と二人で四国への旅をしていた。貧乏学生だったため財布の中身は乏しく、空腹の中ひたすら自転車を漕いで距離を稼いでいた。そんなとき二人がふと目にしたのが地元のなんでもないうどん屋さんだった。
讃岐うどんという名前こそ聞いたことはあったが、当時の貧乏学生に伝統や味の価値などわかるわけもなく、特に意識することなく軒先に書かれていた値段(確か200円くらいだったと思う)に惹かれて食べたのが讃岐うどんとの最初の邂逅だ。状況的にスキーゲレンデで見る女性のように何割増しかにはなっていると思われるが、そのとき食べたきつねうどんの旨さが衝撃的で、今でも舌の味蕾のあたりに当時感じた味が残っている。
以来、讃岐うどんびいきの私だが、残念ながらあのときほど旨いと思えるうどんにはその後まだ出会えていない。
当時を懐かしみつつ四国村を見て回る。わら屋の繁盛ぶりを見ていて、これは村の方も混雑するぞと覚悟を固めていたが、GW初日とは思えないほど閑散としており、存続が心配になるほど貸し切りに近い状態であった。客として見たのは外国人観光客数組だけで、日本人客と一人もすれ違っていない。スタッフの気配もほとんど感じることなく、ただ見て回るだけの入場料1200円が高いかどうかは個人の価値観によるだろうが、大方の人は高いと感じるのではないかと思った。
一通り見て回って、真に歴史を感じさせる貴重な家屋を残している努力には頭が下がる。私の創造力を膨らませるのにも大変有用であった。来る前に想像していたとおりの価値があったと思う。ただ、私のようなある程度の知識を持って見学に来ている客であれば足りない部分は自分で補完できる部分もあるため何の問題もないが、そうでない客には物足りない部分があるように思えた。
展示してあるモノがいいだけに、あと一歩何かが足りないのが残念に映る。もっと何がしかの実演をしたり、専門家を配置したり、見学に来た客に何らかのアピールをもう少しすれば貴重で価値のある古くからの日本家屋がもっと諸兄の印象に残り、身近に感じられると思うのだが、どうだろうか。
そんなことを考えながら帰途についた。
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