古民家についてのまとめ

古民家のこと

ここでは古民家について、作者が思うことを紹介していきたいと思います。

 

古民家といっても、人によってイメージは違うかもしれません。作者自身も「古民家とはこうだ」みたいなガチガチに固まったビジョンを持っているわけでもなく、説明するのが難しいかもしれませんが、私にとって古民家を定義づける上で欠かせないものはなんだろうかと考えてみました。

 

これらのコーナーは特質上文字が多くなりますので、古民家やDIYリフォームなどに興味のある方が参考にしていただければと思います。

 

古民家イメージ 作者が考えている古民家のイメージ画像紹介など
作者が考える古民家とは 作者が考えている古民家の定義などの説明
作者の条件・希望 作者が古民家を探すときのチェック事項の説明
見積もりを出し予算検討 予算設定と現実的な生活をスタートするための最低費用の見積もり
物件購入の顛末@ 作者が古民家を購入するまでの生々しい交渉の話
購入物件の総括 作者が購入した家がどの程度希望に近いのか採点し総括した

 

 

 

今回は、私が購入した物件がどの程度希望に近いものなのか、はたまた遠いものだったのか、希望として挙げていた項目ごとに寸評してみた。

 

@築100年クラスの一般的な庶民が住んでいた民家は茅屋根であることが多い。

母屋・納屋ともに瓦屋根であるため×。

A茅屋根の場合、天井が高く俗に言う「だて二階」の部分に梁や架構材が多く使われている。

茅屋根でないため×。ただ、納屋のほうは立派な材が多く使われている。

B通気性を最重視した造りになっている。

床下の構造、壁の形状など充分に考慮されているため〇。

C断熱性、遮風性には弱く、冬はとてつもなく寒い造りになっている。

断熱は全く考慮されてなく、夏以外はかなり寒い時間帯がある。虫は入り放題であり〇。

D囲炉裏はほぼ例外なく設置されてあった。

母屋・納屋ともについていないため×。

E玄関を入るとまず土間があり、キッチン関係のものは土間に設置されているものが多い。

勝手口を入ると土間になっており、キッチンも土間設置。納屋の土間は三和土であり〇。

F基礎は土台や柱が地面に置いた石の上に乗せるだけの石場建てであり、免震構造になっている。

やや進んだ時代の石場建てに分類され、免震構造であるため〇。

G人がしゃがんで入れるくらいの高床式であることが多い。

高床式であるため〇。

H木材を空気に晒す造り(真壁構造)であることが多い。

母屋・納屋ともに真壁構造であるため〇。

I通気性の良い土壁を利用しているケースがほとんど。

母屋は外壁漆喰、内壁が砂壁になっている。納屋は全面土壁であり〇。

J生活の場である居間は田の字型に配置されていることが多い。

面積は狭いが立派な田の字型であるため〇。

K居間を囲むように縁側や濡れ縁がついている。

母屋の正面側、裏側ともに濡れ縁があり〇。

L排煙設備(妻側最上部に穴があったり、越屋根であったり)がある。

母屋には一切の排煙設備がないが、納屋には両妻面に付いているため〇。

Mトイレ・風呂は基本、離れであった。

建築時から家屋内にある造りであるため×。

N構造上重要な役割を果たしている他の柱より頑丈な「大黒柱」があるケースが多い。

大黒柱と言えるほど目立つ柱はないため×。

O主要構造部などの木材は今も生きているものが多く、古材として再利用が可能。

一部弁柄にしているところもあるが、立派な樹液を出しているため〇。

P農業・畜産などに利用されることがほとんどのため土間に家畜小屋がついているケースもある。

母屋は狭いが、納屋にはちゃんと壁で仕切られた独房式の牛舎が2つついているため〇。

Q材と材は継手で接合され、釘さえも使われない日本古来の伝統工法で作られている。

詳しくは現時点でわかっていないが、見える範囲で釘が使われている部分は少ない。継手での接合が多くみられるため〇。

R現代の価値からすると立派な材(太い柱梁や無垢材)がふんだんに使われている。

母屋はさほどでもないが、納屋には立派な材がふんだんに使われているため〇。

S木だけで作られているものがほとんどで、新建材がないため、人体に優しい。

母屋の外側の屋根に鉄骨やトタンが使われている。納屋の一部にもコンクリが使われている箇所があるため×。

 

上記の通り、該当するものが14、該当しているとはいえないものが6となった。1つあたり5%といえるため該当する方が70%となる。佇まいや雰囲気から「古民家ではなく、昭和初期頃建ったただの古い家」と定義してきたのだが、思った以上に古民家度は高い数字だったといえる。

 

続いては、建屋以外の部分の採点。

 

@前述の古民家の枠組みに入るような物件であること

前の20項目の検証で70%という結果が出ている。厳しく採点したとして△。

Aインターネットは光以上のスピードが必要

回線を繋げようと業者を呼んだら実は光が繋げられない地域に該当していた、というような青天の霹靂がない限り、事前調査では繋がる地域となっているため〇。

B広島県内であること

文句なく県内であるため〇。

C山・川・田畑どれかと密接である環境

裏山を所持していて家のすぐ下を小川が流れている。外に出れば田んぼだらけで家の庭にも畑。文句のつけどころがなく◎。

D車3台を停められる場所があること

倉庫を壊して駐車スペースにする予定であるため〇。家の周囲の道路にも停め放題。

 

惜しむらくは、全15項目中最重要項目に掲げていた@の古民家に分類できる家とはいえないことである。一番大事な部分が70点だがその他の部分が100点という感じで、そこをどう捉えるか。

 

ここからは、全15項目の中でも優先順位の低い10項目が並んでいる。

 

E家から眺めたときにコンクリの建物が目に入らない

集落全体で約20棟の母屋があり、その全てが木造である。農業法人の建物が2棟あり、それのみモルタル壁、トタン屋根になっている。文句なく〇。

F交通の便が悪すぎる場所でないこと

山に囲まれた集落だが、外部へ出る道が2本ほどあり、不便な点は全くないため〇。

G屋根の選択肢は瓦か茅のみで、寄棟でないのが理想(切妻か入母屋、もしくは越屋根)

母屋・納屋ともに瓦屋根であるため〇。

H隣家とある程度の距離があり、除雪の入る道への接続が容易であること

周囲は農道であるため除雪は入らないが、積もっても2〜30pの地域であるため除雪の必要性はない。隣家が一件、川を挟んだ向かいにあり、理想としていた状態よりはやや近い。だが、その他の家は声が聞こえる近さではないため△。

I土間を一定以上のスペースとってあり、部屋数5〜6程度が理想(120〜150平米)

母屋が古民家とは言えない上、面積も狭く理想通りではないが、納屋の方はまるまるこの理想通りであるため〇。

J敷地は広すぎず、狭すぎず、家庭菜園やウッドデッキを設けるスペースがある

敷地を詳しく定義していなかったが、山林も入るとすると×。ただ、山林は枝打ちなどする予定はないし、求められてもいないため特に面倒事がなく、考慮外としてもよさそう。敷地を宅地のみと定義すれば、家庭菜園やウッドデッキを設けるスペースがちょうどある程度で〇。

K内見の際に屋根裏や床下までしっかり見せてもらえるかどうか

全て好きなだけ見せていただけたし、いつでも自由に見に行ける状態にしていただいていたため◎

L15分圏内にお店(スーパー・コンビニ・GS)、30分圏内に高速インターがある

高速インターまで10分、大型スーパーやコンビニ・GSまでも10分、妻の実家まで10分という理想通りの場所にあるため◎

M上水道が通っていること

いつでも引き込みできる状態になっているため〇。

N付帯物件に山林があること

2ha以上の山林がついていたため〇。

 

隣家との距離が唯一の及第点ではないところだが、その他はほとんど理想通りの完璧な条件になっている。

 

トータルで考えると、数少ない不満点としてやはり古民家とはいえない母屋であることと、隣家がある程度近いことが挙げられる。最後の最後まで古民家という部分で悩むところはあったが、値段の安さの誘惑に勝てない形となった。

 

ただ、母屋が古民家といえるものであれば最高だったのだが、環境という面から考えたとき、安芸高田市の道を隅から隅までほとんど全て走って見てきた作者がこれ以上の場所はないと断言できるほど自分の好みに合う環境であり、その点には大変満足している。

 

具体的にどのような環境かを挙げてみると、主要道(県道)へのアクセスが容易な割に周囲を山に囲まれている一見隔絶されたような雰囲気のある場所で、通り過ぎるだけの車の音を聞くことすらないような場所であること。

 

他の集落ではほとんど必ず目にするソーラーパネルや獣害対策用の囲い網などが目に見える範囲に全く存在せず、文明の臭いのする建物・設置物がほぼ皆無という環境(夜に電気が点くのは街灯のみ)にありながら、市の中心地まで10分程度という便の良さ。

 

また、希望としては特に挙げていなかった項目だが、周囲をとりまく生物生息状況の点も作者の満足ポイントになっており、これまで特に触れてはいなかったが、周囲の山からはトビやウグイスの声が常に聞こえ、飛んでいる鳥なども非常に多種多彩である。

 

かと言って農被害のある鹿や猪が出放題かというと、集落の見えない外周に囲いをしてあるため、他の集落と比較すると極めて少ない。初夏にはホタルが飛び交い、脇を流れる小川にはオオサンショウウオの巣が点在しているようだ。まだこれからだが、水棲生物の調査をするのも楽しみでしょうがない次第である。

 

以上の点などから、母屋の残念さはあるものの、作者の探してきたものの中で100点に最も近かった物件であり、これ以上の物件は市内には存在しないと言い切れるものであった。

続きを読む≫ 2019/04/21 20:05:21

ここで作者が行った提案とは、つまり完全なる不良債権になるであろう山林をもらう代わりにもう少し金銭的に譲歩していただけないかというものだ。今後の金銭的な流れを考えると、必要なものに関しては地目の変更や、土地・建物の登記移転などに数十万の金額がかかってくることが予想される。

 

通常はこういった登記などの諸手続きに掛かる費用は買い主が負担することが一般的だが、今回のケースではこの費用を基本全額所有者の方で負担していただきたいという交渉だ。もしそれで了承いただけるなら、山林の全ての権利と敷地内にある全ての動産の処分などをこちらが引き受けるという内容。

 

ダメ元で交渉してみたこの提案だったが、所有者はこちらが驚くほど簡単に諾という結論を下してきた。これには作者も不安になり、手続や費用など場合によっては売値である50万円を上回ってしまう可能性がある提案ですよと再確認したほどだ。

 

その確認に対しても所有者の返答は全く変わらず、「とにかくあなたのような人に買ってもらいたいし、こちらも家が遠くてできない面倒事を全部そちらがやってくれるのだから望むところです」とこちらがキツネにつままれているのではないかと思うような言葉をいただく。

 

作者としては、もちろん所有者に赤字になるような取引は全く望んでいない。そのため、この条件で話を進めていくにせよ、登記に関する手続きの大部分を司法書士に依頼するのではなく、所有者の合意のもと作者自身が代行してやっていくという決意を固めた。仮に赤字になるとしたら、全て作者側が負担するよう、数十万の上澄みを見込んでの決断をする。

 

このような形で交渉が成立し、所有者であるMさんも当初は不動産屋に売却依頼をしてすぐ静岡に帰る予定だったが、今回このような形で決まったからにはこちらにいる間にできるだけの手続きをして帰りたいと思われるようになる。これを境に作者と数日間毎日一緒に手続きなどに奔走することとなったのだが、Mさんは身一つでこちらに来ていたため、車の提供や数日しのげるような食料品の買い出しなど作者が一緒に行える部分の協力を行う。

 

具体的にまず最初にやったことは、土地・建物の登記簿謄本を法務局へ取りにいくことだ。交渉の中で確認したのだが、Mさんによると所有権は全てMさんになるよう過去に手続きを行っていて、粗大漏らさず晴れてすぐにでも取引できるとのこと。

 

しかし、そう簡単に良い方向だけに進めないのが不動産売買の怖いところなのであろう。実際に謄本を取得してみると、すぐに取引できない状態であることが判明する。作者への売買をするにあたって、2つの大きな問題が立ちはだかった。

 

まず一つ目として、現況としての建物が3棟あり、それぞれ母屋・納屋・倉庫で固定資産台帳に登録されているのだが、登記簿上ではそれらの建物が全て存在せず、代わりに茅葺屋根の建物が2棟ほど建っている状態であった。しかもその2棟の建物はそれぞれ所有者が異なっており、一つはMさんの祖父の名義であったが、もう一つの方は全く他人である近隣の方の祖父の名義となっている。両方ともすでに故人である。

 

もう一つの問題としては、現況として母屋などが建っている宅地と思われた土地が実は4つの分割された土地の集合体で、さらにそのうちの2つの土地が「田」と「畑」になっていたため話がややこしくなる。またその他の土地にも「畑」となっている筆がいくつかあるのだが、それらの全てが現況として植林されてあり、事実上「山林」になってしまっているため登記移転の最大の障害となることが予想された。

 

一つ目の問題は昔の古い家などでは本当に多い事例で、私が自身で取引した中でも数軒該当するケースがあったほどなのだが、建物の名義が故人のものになっているケースではその建物を第三者へ売買(登記移転)することが簡単には行えない事情がある。

 

故人の相続権を有する全員の許諾が必要になるのがその理由であるが、特に昔の田舎や農家においては子供が多い大家族が多く、故人が父親であるなら兄弟だけの話で済むが、それでも7〜8人兄弟などというのが昔はざらにある。さらに故人が祖父などという話になってくると、父母の兄弟全員とその子供たち全員も対象となってくる。

 

こんな感じで名義が古い人であればあるほど、ほとんど絶望的な数の人間の承諾を必要とする。その家族の中にもし一人でも不仲であるとか絶縁状態のものがいるとすればそれだけで登記移転など不可能な話になってしまう。

 

だが、実はこちらの問題はさほど大したものではなく、作者の杞憂に終わる。上記の許諾云々の話は故人名義の建屋が残存していてかつそれを売買する場合での話であるからだった。

 

今回のケースでは故人名義の建物が登記簿上存在するが、現況としてその建物は残存していない(過去に壊したことが想定される)ため、建物を壊しましたという「滅失登記」をしていないだけの状態であった。そのため、正統な相続者であれば独断で滅失登記をすればいいだけの話であった。

 

ただし、前述のとおり、2棟の母屋の名義人のうち一人は所有者の祖父であるためすぐに滅失登記手続きができるが、もう一人の方は赤の他人の祖父になっているため、その子孫である方に滅失登記をしてもらえるよう依頼する必要があった。

 

これがたまたまなのか必然なのか、その子孫である方が所有者(Mさん)の幼馴染であったため話がしやすく、すぐに手続きをするための協力をしてくださった。今となってはどちらにどんな理由があってそのような形になっていたのか誰もわかるはずもなく、それだけに無事手続きができたことに胸をなでおろす。

 

問題はもう一つの方の宅地と思っていた一部が農地となっていることだ。植林して事実上「山林」になってしまっている6筆の畑にしろ、所有者(Mさん)のご先祖が無許可・無申請で勝手に建物を建てたりしてしまっている状態になっているということで、農業委員会にもし原状復帰するよう指導された場合はほとんど不可能なため全ての話がなくなってしまうことも充分あり得る。

 

それほどに日本国内での農地の取り扱いというのは法に縛られて(守られて)いる。このままの状態では農地法により作者への所有権移転ができないため地目変更を行う必要があるが、それができれば登記移転自体は簡単に行える。問題は地目変更にあたって農業委員会の許可がもらえるかどうか、である。

 

作者と所有者はすぐに近隣の司法書士事務所に向かい、まず2棟の滅失登記依頼を行った。その後、地目変更が可能かどうかと、可能であればどのような手続きが必要になるかを問うべく、市役所内にある農業委員会へ向かう。

 

農業委員会によると、農地を勝手に植林してしまっているものに関しては登記簿上が田畑であっても、現況として畑に戻すことが不可能な状態であるため「非農地証明」というのを行えば現況の地目(この場合山林)に変更できるとのこと。証明には委員会の許可が必要だが、毎月行われる会議ですぐ許可が降りるとのこと。

 

問題はやはり田畑を無断で宅地にしてしまっている部分であり、この部分に関しては、この地域が「農業振興区域」というものに該当するため簡単にはいかないが、現況として田畑への原状復帰がほぼ不可能であると判断されるケースのため、農業振興区域であることを除外する「農振除外」というのを申請すれば9分どおり許可が降りるだろうとのことだった。

 

ただし、農業委員会の会議とは違い、振興区域に関する会議は年に3度ほどしか行われず、次の会議に諮られて許可が出るとしても最短で半年後になる上、申請者である所有者と作者が連名で始末書を提出しなければいけないというかなりショッキングなものであった。

 

物件購入の顛末C

続きを読む≫ 2019/04/20 21:50:20

集落の顔役であるN氏により集落中の空き家の案内を受ける作者。案内を受ける中で、持ち主がすでに売りたい気持ちを持っている数軒の家を優先的に案内され、その中に今回商談成立した所有者(Mさん)の物件があった。

 

だが、実はその最初にN氏により案内されたとき、作者の中ではその物件は古民家に該当しないため検討の優先順位が低く、他の古民家の持ち主と優先的に交渉を進めていくこととなる。

 

そして、その中で最も現実的な方向で話が進んだのがFさんという方が所有する古民家であり、以後はこちらの持ち主と家に集中して交渉と検討をしていくことに決まった。実際にはそうはいかないかもしれないが、Fさん本人からは「この家を再生して使っていただけるならタダでもいいと思っている」という言葉もきかれる。

 

しかし、その物件は立地条件や家屋の状態が想像以上に悪く、日々の最低限度の生活をするための必要最低限の基礎修復をするだけで400万円以上の見積もり結果が出、さらに必要な改修を進めていくとなると作者の予算をオーバーしてしまう可能性が高い。

 

かつ、どういう理由かはわからないが、固定資産台帳を見せていただく要請をした際に「見せたくない」という反応を示されたり、建物登記がFさんの祖父にあたる故人の名義になっており、登記移転が簡単にできない状態であることもわかった。

 

それらのことがわかるのとほぼ時を同じくして、改修業者の相見積もりなどで現地に通っていたとある日に、冒頭に触れた所有者(Mさん)が帰広して集落に滞在されていたため、図らずしてN氏に紹介していただいたという一種の「縁」というものを感じさせる巡りあわせとなった。

 

所有者(Mさん)と話をしていくと、以前より誰も住むことのなくなったこの空き家物件の行く末が心配で、できることなら売ってしまいたいと思っていた様子。そこへN氏から今集落に空き家がないか売り手を探している人が来ているよ(作者のこと)という情報を得たのだという。

 

もともと、諸々の片づけ等で近日中に寄る予定だったようで、それを聞いてすぐに帰広を決意したとのことだ。あとはこちらの来歴などを色々話す中で「あなたのような人に是非買ってもらいたい」とアピールされる。

 

話す中でMさんの人柄が好もしく思えたこともあり、「物件自体は自分が好むような古民家ではないが、環境は川沿いにあり文句のつけどころもないし、こういう人が相手ならこれも一つの縁かもしれない」と思うようになっていく。

 

そうなれば話はトントン拍子に進んで行く。所有者と具体的に商談を行うにあたり後々のもめ事の種は全て除去しておきたいため、Mさんの相続者にあたるご子息を交えて話を進めることを提案する。

 

すると所有者の答えは、「私には息子と娘がいるが両方とも静岡に居を構えていてこちらの物件には戻る可能性もなく、今後持っていてもしょうがないので私が全部責任を持って売ってくるという話をしてきている。そういうこともあってこの話に子供が出てくることもないし、私のやりたいようにやるよということで決まっているから子供を通す必要はなく、ここで決めて帰りたい」と強く主張される。

 

後々考えればこれが事態をややこしくする最大の原因となってしまうのだが、この瞬間の私にはそこまで考えられるスキルも経験もなく、ただ相手の言うことをそのまま鵜呑みにしてしまう。

 

諸々の話やお互いの売買に対する意思を両者がある程度把握した後、物件交渉の肝となる金額の話に移っていった。大きなお金が関わると人は鬼にも蛇にもなるということを身に染みて知っている作者が最も緊張した場面だったかもしれない。

 

結論からいうと、そんなあらゆる手段を想定しながら構えた作者が恥ずかしくなるほど、Mさんには私心がなく、「私はとにかく、自分が生きているうちにこの家をいい形で処分してしまいたい。同じ売るにしても作者さんのような意義ある人に買ってもらいたいし、これを売って利益を得ようなどとも全然思っていない」

 

「そういう意味で本当はタダでもいいと思うくらいなんだけども、そういうわけにもいかないだろうからせめてこちらに赤字が出ないくらいの金額でいいと思っている」と50万円という金額を提示される。こちらにとってはとてもありがたい金額設定だ。

 

ただ、それだけの条件の中私が一つ気が進まないことがあったのが、所有者の持つ膨大な山林(総計2ha以上)であった。所有者が今回私と売買の対象としたい物件は全部で28筆という個人が買うには途方もない量の不動産である。

 

しかも、そのうちのほとんどを占める山林は全て例外なく境界が定かではなく(所有者含め誰も知る人間がいない)、所有権を得たとしてもほとんど使用できないままただ固定資産税を支払い続けることになるだけの不良債権になることがほぼ確定のものであった。作者がざっと計算しただけだが、年間あたり5〜8000円くらいの額の税を山林のためだけに支払うことになると予想された。

 

逆に、全てを堂々と使えるようにしようとすれば土地家屋調査士に境界確定の依頼が必要で、20筆以上もの山林の境界確定にどのくらいの金額がかかるかなど想像もつかず、数百万円は下らないだろうからそちらを選択することも非現実的であろう。

 

所有者の人柄がよく、気持ちよく取引できそうな物件ではあるが、山林の所有が最大のネックとなりこちらの気がなかなか乗ってこない。もともと山林を所有することは作者の理想にも含まれているのだが、境界確定がなされていないというのがこちらの気を重くした。

 

所有者との交渉の中でそこらを計算した作者は、ダメ元である一つの提案をしてみることにした。

 

物件購入の顛末B

続きを読む≫ 2019/04/20 19:46:20

それから3日が経過。まだ作者の中でどのような形で決着をつけるのか決めかねていたが、所有者(Mさん)に電話をしてみた。息子との会話の中で食事も喉を通らず、痩せてしまっているという話が出ていたため、少し心配になったからであった。

 

しかし、電話は繋がらず、しばらくしてからNさんより電話がかかる。「先ほどMさんから電話があって、前に仲介を頼んだ経緯があったが結局不動産屋に仲介を頼むということで子供達に説得され、そのまま押し切られたということだった。そんなことで不動産屋からそちらに電話があると思うので2転3転するようですみませんがその方向で結論を出して先方に伝えてほしい」とのこと。

 

正直、150万円ですでに話を進めていた不動産屋が50万円前後の売買額で引き受ける可能性は低いと思っていたため、前後の経緯を確認するために息子に電話。「もう母は私の言うことを全く信じてくれないような状態になっています。母はどうしても個人売買の話で押し切ろうとしていたんですが、姉と二人で不動産屋を通すことだけはなんとか説得し、母の目の前で依頼の電話をしました。値段に関してはもう作者さんの言い値で進めていきたく思っていますのでそれでお願いします」

 

その話を聞き、一つ気がかりだったため息子に確認。話を不動産に伝えたのはいつだったのか聞いてみると、昨日の午後の話だという。この通話のやり取りをしていたのが遅めの時間帯だったことから、一両日以上を過ぎてもこちらに電話がないことになり、H不動産にも葛藤がある可能性が高いことを予測。

 

息子に不動産屋が渋らなかったかどうかを確認すると、「渋られました。作者さんの態度や姿勢を見る限り、こちらに不信感も持っているようなので交渉成立は難しいのではないでしょうかと言われましたが、その後電話をしてある程度両者の歩み寄りが見られたから成立の可能性は高まっていると思いますとお伝えしました」とのこと。

 

そのまますぐに不動産に電話。「やはり息子さんのほうから少し歩み寄りをしてでも成約をしたい話がありました」色々と経緯はあるが敢えて詳しい説明はせず、こちらの最終結論(売買額55万、経費所有者持ち、表示登記なし)のみを伝える。「今まで色々と三者三様で思うこともあったでしょうが、三方一両損という諺もある。今回は全員が少しずつ損をするという形で手を打つのが妥当と思います」

 

不動産屋の了承を得た後通話を終了し、そのまま所有者に電話。不動産屋の仲介で契約を進めることに同意した旨を伝える。先日の繋がらなかった電話もそうだが、作者に対する申し訳なさから電話口に出られないと思いながら受話器を取った様子で、泣きながら感謝の言葉あり。その後H不動産からも息子が作者の条件を了承したとの連絡あり。

 

その後はほとんどの手続きを不動産屋に任せることで話が進む。調整の結果、成約日が4/20で確定。その日までに農振除外が必要だった2筆の土地は登記移転が間に合わず、7月になる見込みになってしまったが、土曜に司法書士立ち合いのもと金銭授受を行い、同時に権利書を委託し、月曜に登記移転の手続きをすることとなった。

 

ここまでが所有者との出会いから成約までの流れとなる。個人売買がいかに大変だったか、おわかりいただけたと思う。この大変さと較べるくらいなら最初からお金を積んで不動産屋に任せた方がいいという人の方が多いのは納得できる。

 

私としては、この経験はとても貴重なものであり、今後も物件を購入するときはやはり個人売買をお勧めしたい。

 

ちなみに、散々な書き方をしているように思えるが、元所有者の息子さんとの関係は最終的には良好になっている。成約日には物件に母子ともども泊まっていただき、集落の人たちと最後の挨拶を交わされている。

続きを読む≫ 2019/04/20 16:41:20

断りを入れてから2日が経過し、何のレスポンスもないことを確認したため、交渉決裂と判断し、所有者本人に入電する。結果的にこちらの支払額が最初話していたものより40万円ほど高くなってしまっているため、やむを得ずお断りさせていただきましたとお伝えし、Mさん本人と話を進めていく過程でこちらの負担が増えるのは想定内だったし、そういう意味でその程度の金額であれば準備はあったが、信頼の築けない相手に結論お金だけ増やせというやり方には気持ちよく頷けなかった。という旨を伝える。

 

所有者より「まだ顛末なんかは一切聞いてなくて今初めて聞いたんだけど、もう一回息子には言ってみる」、「本当に、今まで色々やってもらったりしてるのにごめんなさい」、「もう息子に任せてしまっているから、お互いの溝が埋まらなかったのならもうしょうがないね、本当に悪かったです」と謝罪の言葉あり。

 

同日、紹介の労をとっていただいた集落のNさんにも顛末を報告。度重なる息子の不誠実な対応や、すでに不動産屋に依頼している様子などを伝え、所有者(Mさん)本人にも取引をお断りした旨を伝えたことを報告する。

 

「今後先方から譲歩の申し出でもあればわからないが、こちらからコンタクトすることはもうないからこの話はなかったことになると思います。色々とお世話いただいたのに申し訳ありません」と謝罪。同時に、まだ具体的に話が進んでいなかった空き家物件が残っているので、そちらのほうに再度あたってもらえないか依頼する。

 

2日後、Nさんより電話。所有者(Mさん)より改めてNさんに顛末報告の連絡があったとのこと。Nさんのほうからは、今後の草刈りのことや、前述の国からの補助金問題への危惧や、不動産に依頼したところでそんなにすぐ責任感のある買い手がつくとは思えないなど心配点を指摘し、作者のような買い手はそうそう現れるもんじゃないよと相当のプッシュをした様子。

 

さらに追及して話した内容として、所有者本人はまだ最初に作者と話した条件で物件を売りたい気持ちを持っていて、不動産仲介を全部キャンセルした上で再度作者と売買契約できるよう個人的に仲介の労をとってもらえないかと依頼を受けたとのことだった。そのため所有者は来月にも集落に来るよう準備を進めているという話。

 

Nさんとしては、今後ご自身が仲介の労をとることの条件として、息子が作者に対して不誠実な対応をとっていたんだから、親であるあなたからもっとしっかりと事情を説明して、これ以上作者に不快な思いをさせないようにすることと、当初の話どおりの条件で進めることを約束してくれ、そうでなければこの依頼は受けられないと伝えたとのこと。

 

正直、こちらとしてはもう何度も気持ちが離れるようなやり取りがあり、不快でケチがついていた最大の原因である息子が代理人のような形で出てくる限り結果は一緒じゃないでしょうかとお伝えする。そういう形ではなく、息子が出てきたとしてもあくまで所有者の後見人のような形で、意見一切のことは所有者さん本人に依る形にもっていけるのであればその話はお受けできます、と伝える。

 

Nさんもそれが当然とし、その方向で明日か明後日に返事をいただける手筈になっているため、今しばらく気持ちを完全に離すのを待ってくれないかとのことだった。

 

翌日、息子より電話。「母に何か言ったみたいですが、一体どんなことを言ったんですか」と作者を非難する口調。さらに、「こちらとしては金銭交渉をしようと額を提示したら考える時間もないほどすぐににべもなく断られて、交渉の余地もないのかと遺憾に思っていた」「そのうえ勝手に交渉を打ち切られて母に連絡するとかどういうつもりなんですか」とこちらが耳を疑うような発言。

 

少し予想外の非難だったせいもあり、作者もすぐに冷静になって話すことができず、「こちらとしてはそもそもMさんと契約の話をしているつもりで、破談になった経緯をただ伝えて謝罪しただけなのになぜこちらが責められなければならないのか」、「少なくともこちらは断りを入れてから2日ほど待ちましたよ?お断りの連絡を入れて2日間なにも反応がないことで手切れと判断したがそれのどこがおかしいのか」、「そもそもこちらが断りを入れたことはすぐにそちらに伝わっているはずなのになぜ所有者である母親に伝えていないのか理解できない」

 

「それに、不動産に依頼するときにこちらに損はさせないという口約束は言った言わないの体で反故にされるんでしょうか?こちらとしては損はさせないという前提があったから不動産屋を通すことを了承した。その舌の根も乾かないうちにこちらに40万円の出費がかさむ提案ができるなんてどういう神経をしているのか」など、無遠慮な言い方で応酬してしまう。

 

そして、結果的にそれをきっかけにして息子と作者の間でお互いに積もっていた腹の内を言い合うような乱暴なやりとりを交わす。しかし、それが結局功を奏したのか、なんとなく両者とも冷静に話せる雰囲気になり、息子がこちらの言葉を聞く姿勢をみせたため、今まで言えていなかったこれまでの経緯などを順を追って伝えることができるようになった。

 

息子からの話の中で、「母親が錯乱したようになって、ご飯も喉を通らないほど憔悴しているんだが一体どんなことを言ったのか気になって電話した」、「母からの話ではもう私はカヤの外で、私のことを無視してでもそちらと契約するというようなことも言っていて、どうやったら母をそんな心境にさせることができるのかも不思議でしょうがない」

 

作者なりに所有者の心中を推察し得ることを伝え、前述の草刈りなど管理が困難になっているなどの点からMさんが一刻も早く家を売りたいと思われている心境になっていることを初めて理解された様子が窺えた。

 

また、Mさんが一週間ほど集落に滞在されていた間、ほとんど作者が一緒に手続きを付き添い、Mさん自身も「ここまでやるからには絶対に心変わりしないでね。お願いします」と何度も確認するように言っていたことから、逆に自身が結果的に裏切る形になっていることに心を痛めているのではないかと伝える。

 

さらに本音を言い合う中で、40万円程度の利益を突っぱねられたことを遺憾に思うような発言もあったため、こちらの考えや気持ちも伝える。「そもそもこちらはMさんの人柄に好感を持ったことと提示額が安くお買い得であるから話に乗っただけで、こちらから働きかけてどうしても売ってほしいという形で交渉したわけではない。そういう意味でそちらに金額を吊り上げるような余地はほとんどない」

 

息子としては、こちらがそもそも買う気が失せてくれるのが一番よかったとも言っていて、「むしろ破談になったことはこちらとしてはいいことだと思ったんで、連絡もしなかったですし、不動産とは150万円で売りに出してみようという話をしていました」と本音の部分がやっと聞かれる。

 

作者としては、「こっちとしてはもっと早くそういう話がしたかったのにその点で残念でした。買う気が失せてほしいと思っているんだろうなとはわかっていましたが、こちらも移住先を探して2年経った中でようやく具体的に進んだ話でもあるし、こちらは私だけでなく家族の人生もかかっているのにそんなに簡単に心変わりすることはない。」

 

「売る側からすると家の価格自体は安いものに感じられるのかもしれないが、家を買うなんてこちらとしては人生でも大きな決断なのに、それを軽んじられるのはたまらない」と伝える。この会話に対しては息子からも素直に謝罪の言葉がきかれた。

 

その後両者とも穏やかに話を続ける中で、例えばMさん方の利益額を30万くらいに設定したとしたら如何だろうかなどと提案があり。こちらも前向きに検討してみる旨を伝え、少し返答までに時間をいただく形で了承を得る。

 

物件購入の顛末H

続きを読む≫ 2019/04/20 13:23:20

気持ちを整理するため、前回の息子のメールより2日間を空けて所有者に電話。「息子さんは売ると言ったり売りたくないと言ったり対応に誠意が全く感じられない。Mさん本人との取引と思って信頼してここまできたが、息子さんのことは全く信頼できそうにないので、今後もどうしても息子さんを通すことになるのであればこの話はなかったことにさせてもらおうと思っています」と決意を伝える。

 

所有者より電話口で「やっぱりお会いしたことがないことが引っかかっているんだと思う。もう一度息子に言ってみる」との返答。ただ、正直なところ、この問題は会っているいないで解決する類のものではなく、人間性の問題であるため、今後もこちらの疑念が消えることはなさそうだ。

 

しばらくしてから息子より入電あり。「私は個人売買というのがどうしても不安。それで過去に痛い目にあったことがある。できれば今後は不動産屋を通して話を進めていきたい」「実はもうH不動産というところに相談していて、そちらさえよかったら電話でもしてもらえれば話が通じるようになっている。作者側に損はさせないように配慮するからこれで進めさせてもらいたい、一度電話してもらえないか」とのこと。

 

手前勝手な申し出で気分が悪かったが、こちらに損はさせないとまで言うのなら最後に騙されたと思って提案に乗ってやろうと思いなおす。これでダメならその時は破談ということでいい。それに、これ以上息子と直接やりとりするのは作者の精神衛生上にも良くなかった。

 

そのまま通話を切り、H不動産に入電。今までのいきさつ、通常不動産屋や仲介業者がやるべきことをこちらがほとんど全てやってきていることを改めて説明。不動産屋の言葉からも、「私が今さら間になど入らない方がいいのではないか」など遠慮の声が聞かれたが、こちらもこれ以上直接息子とはやりとりする気がないため、仲介することを了承する。

 

H不動産から、息子からは実は今回が初めての接触ではなく、以前売買価格の妥当な値段を相談されていたと打ち明けられる。掘り下げて聞いてみると、その不動産屋の見積もりでは80〜100万円くらいではなかろうかと伝えたとのこと。

 

なるほど、こちらの印象としては恐らく息子から不動産屋に対して売値が安すぎて納得いかない旨の打診があったのだろうと推測。それもこの物語のかなり早い段階で、恐らくこちらが契約書を送付したタイミングか、それ以前と思われた。また、不動産としても取引額が安いと思った可能性があり、プロの目から適正価格的なものを暗示することにより値段交渉をしようという肚が伝わってきた。

 

こちらとしては、出る杭は打っておかなければならない。不動産屋に対し、値段が相場よりも安く決まった経緯と、手続きにかかる費用も売り主側負担という不利な条件であるのは山林などの不良債権をもらうことと、動産の処理を全て引き受けることも条件に入っているからだと説明。値段的に一歩も譲る気はないと暗に伝える。

 

それから3日ほど後、H不動産から電話。「ことが事ですし、登記や転用、境界線の確定などこれからも売り主側に費用がかかりそうな問題山積みでとても依頼主に利益を出せそうにありませんので仲介をお断りさせていただきました」との報告を受ける。

 

それを受け、息子に携帯メールにて意思の確認を行う「今後どうしていかれますか」、息子より返信「明日、母と話をしてきますが、不動産屋が間に入ってくれないのなら私は反対です。母と相談してきます」。「では明日話し合いの結果をお知らせください。お待ちしています」

 

予想通りの結果だが、それから4日が経過したが何の返信も来ない。作者もこれを最後にするつもりで息子にメールを送信。「失礼ながらそちらはこちらを取引の相手としては見ていないようですね。もうリミットにしたいと思いますので結論をお聞かせください」

 

そのメールを送信後、今までにない速さですぐに息子より返電あり。「母と話しましたが作者さんに売りたいと思っていますので不動産屋に再度依頼してみます。境界線などで利益を出すことが難しいようなので、不動産には条件を変えて、山林などは今回は売らない方向で話してみるつもりです。母も不動産屋の話をきいてすぐに司法書士事務所に建物登記の依頼を出しました」

 

相変わらず相手を無視した形で話を進める息子に対し、怒りを禁じえない。「そんな大事なこと、こちらに何の相談もなしにそちらの独断だけで勝手に進めていこうというのはどういうつもりなんですか?こちらに報告さえもしないなんておかしくないですか」不愉快が積もり少し冷静に話せていない。こんなことならもっと早い段階で破談にしておくんだったと何度も思った。だがどのみち不動産の言動から結果はすぐに出るのだ。こちらから破談を伝える必要はまだない。

 

翌日、H不動産より電話。「やはりどうしても仲介してほしいということだったので私が間に入ってもよろしいでしょうか」了承し、さらに話を聞いていくと、「息子さんの意向で母に少しでも財産を(お金という形で)残してあげたいということで少し金額や双方負担していくものについて相談させてください」この段階にきて、ようやくこのやり取りの核心となる部分に触れてきた。

 

こちらとしても、息子がこの売買契約の金額を安いと感じているであろうことは想像に難くない。そんなことは最初からわかりきっていたことだ。ただ、息子はそれに対する交渉の仕方を初手から誤ってしまった。それが全てであり、ここまで面倒になっている大元の部分であろう。最初から誠意をもってすぐに作者に電話し、少し金銭的な部分を交渉させてくださいと言っておけば、作者は必ずそれに応じたはずである。

 

ただ、今となってはもうこのH不動産と作者の知恵比べのような形になってしまっている。作者としては、こちらに損はさせないよう努めるとした相手に対して初手から譲歩などする気もないため、境界確定のない完全な不良債権である山林を引き受けるのだから値段交渉や負担分担交渉などには応じられないと突っぱねる。ただし、山林を含まない契約でいいのであれば多少なら相談に応じても良いということを付け加えて。

 

作者としては、そもそもこの物件を買おうと思ったきっかけが所有者の人柄と値段の安さにある。今現状をみてみると、そのどちらとも引き離されたところで契約を決着するような状態になりつつあることが何より不服だったし、もともとが家そのものに惚れ込んでこちらから是非にという姿勢でもなかった。こんな状態であれば契約しなくてもいいとさえ思っていた。

 

それから一週間、不動産屋より全ての見積もりが出終わったと報告の電話。当初の話どおりだと建物の登記にかかる費用も所有者持ちということでその費用が18〜20万ほどと見積もられた。このままだと売り主側に全く利益を出すことができない状態になってしまうため、なんとか表示登記なしで購入していただくということでご納得いただけないかとの打診。

 

作者の構想上でもそのくらいはもともと譲ってもいい部分だったため、その旨を了承する。息子に対し、少しでも利益になるような不動産の説得に一度折れる姿勢を敢えてみせることとした。

 

その3日後、不動産より見積もり内容を息子に伝えた結果、利益の少なさに悩んでいる様子だったと報告あり。近日中に返答をもらえるよう伝え済みとのこと。もうこの時点で、さらに上乗せしてくることは読めていたので、あとは交渉決裂するのにどういう流れになるのかだけを考えていた。

 

さらに3日後、息子からの最終条件が出たとのこと。最低40万円は利益を出したく、手数料や不動産費用など全て込みで25万円(建物登記費用は含まず)ほど費用がかかる計算になるため、前出どおり建物登記なしの上、65万円で買ってくれるならとのこと。正直にいえば、この程度の条件であれば、相手側がちゃんとしたプロセスを踏んでさえいてくれれば快く受け入れることができたであろう条件である。

 

ただ、こちらとしてはもう完全に開き直っている状態だったため、「不動産に依頼するしないの話をした際、こちらに損させないように配慮するといったのは嘘だったのか。こちらはすでに不動産への仲介料と消費税で5万弱、登記なしでの購入ということで20万弱、併せて25万程度の金額をすでに泣いている。そこにきて前言を無視したような要求をするなど気持ちよく頷けるわけがない」

 

「それにこちらにとってこの契約はあくまで所有者(Mさん)との契約という意識でここまで進めているし、仮に代理人として息子と金銭交渉するとしても、こちらはすでに今までのやり取りの中で結果的に嘘をつかれたりするなど不愉快なことが多く、息子に対して全く信頼や譲歩するだけの材料がない。もう充分物件自体にケチもついてしまったし、今回の話はなかったことにしましょう」と正式に断りを伝える。

 

H不動産としても内心、作者と息子の話が破談して自身の見積もりの上で売買したいに違いなく、また息子との間でそういう状態に持って行きたいと事前に打ち合わせていたのかもしれず、その証拠として、「そうですよね。わかりました。今回はこんな結果になってしまいましたがまた次回なにかご縁がありましたらよろしくお願いいたします」とあっさり最終的な挨拶をされる。

 

以上の流れで、正式に破談ということになってしまった。

 

物件購入の顛末G

続きを読む≫ 2019/04/20 11:29:20

前回までの話で息子と関わることで物件全体の負の印象が強くなってしまい、今後は購入の見合わせと両天秤で考えていくこととなる。ただ、自分も関わってきた諸手続きなどがあるため(所有者と連名で申請書を出したりもしている)息子側に諸々の事情を理解できる可能性がある限りは少し辛抱しながら交渉を続けていくことを決意する。

 

ただ、この最初の接触もそうだったが、この後も息子とのやりとりは常に遅きに失した形で進行していくことになる。簡単に言えば何かを検討すると言ってもその一つの返答を得るために毎回1カ月くらい、こちらの催促があるまで返答をいただけない形で進行していったということだ。

 

最初の電話から20日経っても何の連絡もないため、初めての催促の電話を実行。しかし繋がらず、息子からその返電があったのは翌日。「母親と話し合った結果、このまま買ってもらいたいということで決まりました」との言葉が聞け、ほっと胸をなでおろす。

 

前回で話したとおり、こちらが作成した売買契約書を送付するためPCメールアドレスを教えてもらい、こちらは本日中にすぐに送信する旨を伝える。息子からは、契約書を見ても私たちではわからないだろうし、専門家等に相談したりもしたいため少し時間をくださいとの申し出を了承する。

 

それより5日後、早速息子より携帯にメールが届く。一瞬、思っていたより早いレスポンスに驚きながら確認すると、「まだメールが届かない」との内容。PCメールを送った際に携帯メールで確認しておけばよかったが、教えられたアドレスが現在使用していないアドレスだったらしく、それとは違うアドレスに再送信することになる。そちらのメールはすぐに確認がとれ、息子より返信「近日中にお返事します」とのこと。

 

それから40日経過後何ら返答をいただけない状態のときに農業委員会から農振除外申請の場所に立ち会ってほしいと連絡が入る。そのため検討の進捗状況を確認すべく催促の携帯メールを送信。同日息子よりメールで返信があったが、「来週姉と会うので話をして来週末には連絡します」との返答。なぜ姉と会う必要があるのか気になったが敢えて理由は聞かず、結果的に何ら返答をもらえないままに作者が農振除外の立ち合いに対応する。

 

それから10日後ようやく息子より入電。「姉と母を交えて話をした結果、やっぱりそちらに売ろうと思います」あまりにも予想の範疇を越えた2度目ともなる売る発言に驚きを禁じえず、契約書の検討の結果を聞くとどうやら専門家などへの相談はしていないとのこと。この返事を得るまでのおよそ2カ月間、一体何をしていたのか疑念を抱かずにはいられない。

 

作者の感想としては、売ることに積極的でない息子が、母を説得するために味方(姉)をつけて篭絡しようとしたのではないかと勘繰ってしまう。姉という存在が母親の味方をしたのかどうかはわからないが、それら家族会議で母の意思を覆らせることができなかったものと見受けられた。

 

ただ、契約に前向きな発言もあり、「話し合った結果、なるべく早く顔合わせして成約したほうがいいだろうと思うので1カ月後くらいにそちらに向かうつもりで準備するので検討してほしい」とのこと。こちらが出先で電話をとっていたため具体的な話には言及せず、こちらでも検討して再度連絡することで通話を終える。

 

所有者側がなるべく早めにと契約を考えているのは、こちらが当初そのようにするために話を進めていた(屋根の修繕を急ぎたかったのが主な理由)ためで、この段階に至ってはこちらの都合や事情がだいぶ変わってしまっていたことがあり、結論から言うと契約するのは春先(4〜5月頃)でいいと返答する。

 

息子の態度を見ている限り、両者が前向きな形で契約前に屋根の修繕をするのはすでに非現実的な段階に至っていたことが大きい。この話に至るまですでに3カ月が経過しており、その間にも建物は雨に侵食され続けている。今更感が強いし、これから降雪期に入ろうという時に素人が屋根修繕をするということも少し無理がある。

 

また、市の補助金制度の関係もあり、来年度(4月以降)の売買契約にした方が作者にとってメリットが出てきた部分もあったため、わざわざ寒い時期にこちらに来ることはないと思ったのも大きな理由だった。

 

ただし、手続上、4〜5月の本契約にこぎつけるためにはどうしても急いで動かなければいけないことが数点あり、(転用・登記移転手続きなど)どのように動いていくかの意思決定をすぐに決めてほしい旨お伝えする。動くといっても実際に動くのは作者の方だから、所有者としての意思決定をしてほしいと依頼。息子よりすぐに返信があり、「わからないことが多いため母と相談しながら返答します。わからないことは電話で教えてもらいながら進めていきたいと思います」とのこと。

 

しかしその返事が全くこず、1カ月経ってもレスポンスがない。そうこうしているうちに農振除外の公告縦覧が出たことの通知がきた。つまり、最初に農業委員会で申請を出したときから半年後に除外になるとされていたものがこの段階(残り2カ月余り残った段階)に公示されたため、手続きにかかる日数を少しでも稼げるよう、地目変更申請を今のうちにやっておくと2カ月後正式に除外されてからやるより早く手続きができますよという通知だ。今この時点ですぐに申請すれば4月中に契約することも可能なギリギリのタイミングというものだった。

 

ただ、現状こちらと相手の温度差が極めて激しく、そのような話にはとても応じてもらえそうにない。このままではどんどん契約日が無駄に遠くずれ込んでしまうため何度目かになる催促メールを送信。公告縦覧が出ていることを伝えてはみたが、恐らく意味がわからないだろう。しかし、この催促のメールにさえ息子は返信を寄こさず、2日後に再度催促のメールを送信。

 

そして息子から来た返信に作者は絶句することとなる。「母は売る考えです。私はそのまま置いておきたい思いがあるのでそのことで口論となり、まだ一切話は進めていません」目の前が真っ暗になるような衝撃を受ける。それとともに、この息子と話を続ける限りこの話は絶対に成就しないことを確信した。

 

そもそも、所有者が物件を売りたいと強く思うようになった原因として、土地の管理を依頼できるような人が集落にはいなくなっているということが大きく挙げられる。田舎というのは口やかましいもので、草刈りをしていないだけで苦情が届いたりする世界だ。管理を頼める人間がいてこそ、維持し続けることができるし、ただでさえ過疎化している集落であれば空き家となって朽ちていく建物が近隣にあるだけでどうにかしろと苦情が届いてしまう。

 

その上、所有者は田を所有してあり、その農地を現地の農業法人に預けてある形をとっている。その農業法人は預かった農地を元に国から交付金を受けているため、管理が行き届いていないと厳しく指導されることがある。今までは集落の人間の協力があってなんとかやってこれたが、今は高齢化と過疎化が激しいため、農業法人だけの力では広大な(自分の農地を丸投げにしてしまっている人が多い)農地のケアができなくなってしまっているのが現状だ。

 

そういう理由もあり、農業法人からも個々の所有者にちゃんと自分で管理できる形(誰かに売るなり、シルバー人材などに草刈りを依頼するなり)を作るようにしてほしいと強い要請を受けている事情がある。

 

また、交付金を受けている都合上、定期的に役人が農地を視察にきたときに契約違反が見つかったとすれば(この場合は例えば草刈りが全然されていなかったりしたとしても)過去の全ての交付額に遡って返還通知がくる可能性があるというものだ。

 

以上のような前提で、所有者はなるべく早急に、しかも信頼できるような人に物件を売りたいと思っていることが推測できる。それもこちらの少し破格とも言える金額提示にも応じていただけることを考えると、今回の契約をきっと成立させたいとの思いが強いのだろうし、実際に作者本人にも何度も念を押すように「心変わりしないでね。ここまで手続きを進めたんだから、本当にお願いしますね」と伝えていた。

 

そのような母の思いを知る由もないような息子のあっけらかんとした「私は残しておきたい」発言には、目が点になるばかりだ。そして、この時点ではもう、作者もこの契約が成就しないことを前提にある程度開き直って息子とやりとりをすることを決意したのであった。

 

物件購入の顛末F

続きを読む≫ 2019/04/20 09:39:20

ここでは、私(作者)が物件を購入するに至った経緯などを記述しています。金銭がらみの生々しい話や利害の絡んだ人間の醜い考察なども可能な限り忠実に記載しているため、不快に思われる方は見ることをお勧めしません。また、購入に至るまでの半年間にわたる所有者とのやりとりの話を簡潔にまとめようとしたのですが、長すぎる文章の羅列になりそうだったため、作者なりに気を利かせて少し物語調に仕立てています。

 

最初にまず人物紹介と文中の表記の仕方から
私(作者)・・・40代♂、広島県内で古民家を探している
現所有者であるMさん(所有者)・・・70代♀、静岡在住で、その前は嫁入りまで集落に住んでいた
現所有者であるMさんの息子さん(息子)・・・4〜50代♂、静岡在住で、集落には全く関係せず
家の存在する集落の顔役Nさん(N氏)・・・70代♂、所有者とは幼馴染

 

最初の出会いは、移住後古民家を探す私を一貫してポートをしてくださっている市役所の担当T氏とのやりとりから始まることになる。当時、だいたい表に出ている売り物としての物件をほとんどあたってはみたものの、決断に至る家をなかなか見つけられなかった。というのも、当初探し始めた頃は自分の希望とする家の像というものが今と違うものであったことがある。

 

古民家で暮らすことに思い入れがあった作者だが、その思い入れがあるあまり、とにかく古民家といえそうな時代の古い建物がある物件を最優先に検討していた。ところがいざそういう物件を実見してみるとなかなか自分の思っていたものとイメージが違うという理由から購買意欲が湧いてこない。そこで、成約に至らなかった物件の根本的な理由を自分なりに分析した結果、家の置かれた環境にNGを出しているケースが多かったということに気付く。

 

この場合の環境というのは、例えば隣家が密接して近すぎるであるとか、大きな道路に面していて頻繁に大型の車などが通るだとか、高速ICやスーパーなどが理想の範囲を超えて遠い場所であるとか、家の敷地内から文明を感じるもの(コンクリの建物や信号機など)が見えてしまうなど、作者の理想とする色んな要素が絡んでくるものだ。

 

つまり、それまではまず始めに建屋ありきで探す考え方をしていたが、実際は環境ありきで探すほうがより答えに近い物件に出会えるのではないかという考え方に変わっていったことが一点。

 

もう一つ成約に至らなかった理由を挙げるとすれば、出されている物件の値段の高さにもあった。これにはいくつか理由が挙げられるが、そのうちの多くのケースで当てはまる理由として、不動産屋や仲介業者を間に挟むことによって本当の掘り出し物件ではなくなってしまっていることも大きな要因としてある。

 

上述のこともあり、理想とする物件像としてすでに不動産などに売買依頼が出されてしまっている物件よりも、個人売買で決着がつきそうなものを優先して検討していたことが2点目としてあった。

 

それら2点の方向性を合わせ持った探し方として作者がやっていたやり方が、自分で捜しまわって最適と思える環境に建っている古民家(空き家っぽいと推測される建物)の持ち主を個別の知り合いを頼りに当たっていき、個人売買に繋げようという形だった。

 

そこで冒頭で登場していただいた役所の担当者T氏の出番である。とある集落の雰囲気を気に入った私は、その集落のどこかの物件で話ができればと思い、集落の顔役にツテを求めてT氏に相談を持ち掛けた。

 

T氏はいつもこんな私の無茶振りにも柔軟に対応してくれるナイスガイで、そのときもすぐに集落の顔役であるN氏を紹介してくださった。今後はこのN氏を起点に様々な話が進行していくことになる。

 

物件購入の顛末A

続きを読む≫ 2019/04/20 08:48:20

前回までの話で口頭での契約成立となったわけだが、それ以前に作者はFさんという方の古民家を検討中であったため、そちらには断りの電話を入れることにした。これからは、半年後までにできることを全てやっておこうと、契約書を作るかたわら、現状ある建物の採寸・間取りを図面に起こして改修案を作成したりしていたことはブログでもお知らせした通りである。

 

ネットなどを駆使しながら契約に関することを調べ、それなりの契約書が出来上がったのが約2週間後のこと。契約書は確定のものではなく、あくまで案としてのものであるため、所有者にも見ていただき、両者確認の上で仮契約・念書に繋げたい。

 

作者はさっそく所有者に連絡をとった。所有者は高齢でもあるため、契約書などは子供と一緒に確認することになるかもしれず、最終的にはワードで作成したちゃんとしたもので契約を行うが、現状可能であるならPCを通じてデータだけを送ることができれば時間の短縮に繋がる。

 

そんなことを思いながら連絡し、契約書さえ合意できそうならワードでちゃんとしたものを作った上で作者も一度静岡に寄らせてもらい、両者が再開した上で仮契約の押印をしたい旨伝える。その後速やかに屋根の修繕にあたらせてもらえるよう再度依頼。

 

電話口では所有者が帰省後すぐに息子には話してあるからそれを一度送ってくださいとのこと。だが、上述のとおり作者もPCから送りたい思惑があったためそれが可能かどうかを確認する。その時点で所有者にはわからないことだったため一旦保留とし電話を切ったが、しばらくして作者の携帯に番号登録のされていない電話が鳴ることになる。

 

誰かわからない状態で通話をしてみたものの、相手側が何を話しているのか最初理解できず、間違い電話かと思った。なにやら、名乗ることもせず、用件を言っている様子なのだが、「間違い電話ではないですか?」と思わず聞き返すほどだった。

 

そうこうしているうちに相手が思い出したかのように名乗り始めたのだが、「Mです」というだけで作者の頭の中には過去に存在したMさんという名前の知り合いは数えるほどしか存在せず、そのどれも当てはまらないから一層わからなくなってしまう。

 

そうこうしているうちに相手側より「家の話をしていたMの息子です」とようやく理解できる名乗りがあり、Mさんの息子との最初の接触となった。つまり、これによって作者が想像したことは、息子はコミュニケーションがあまり得意でない可能性が高いということだ。

 

ようやく電話口の相手が誰かを理解した作者だが、その作者に向かって息子より開口一番、「一体どういうつもりなんですか?」と強く非難味を帯びた口調でまるで詰問されているような問い方をされてしまう。良心的に考えても明らかに敵視した様子が窺えた。

 

話を聞いていくと、「母が勝手にとんでもない話を決めてきたようでびっくりしています。そちらが屋根を修理してくれるとかいう話になっているみたいですが、それはそちらの好意でというか、タダでやってくれるんですか?」などと今までの話が全然通じていない様子がありありとみてとれた。

 

話の中で、「売るなら売るで構わないですが、こちらとしてはちゃんと不動産を通してやっていきたい」とこちらにとっては寝耳に水の話。作者もこれまでの経緯を説明せざるを得なくなるが、予期できていなかった展開のため、うまく伝えられてはいなかったと感じられる。

 

ただその中でも強調して伝えたことが、すでに不動産屋がやるような手続きのほとんど全てをこちらが無償でやっていること。それはお互いの口約束に基づいて行ったものであること。こちらはその約束に基づいてもうすでに仮契約書も作成済みであることなどを説明。

 

そういう理由から今更不動産屋に仲介を頼むのは理に合わないし、手数料が上乗せされてくるため両者の金銭負担も変わってしまうことになる旨を説明。契約金額からして、不動産屋を通すことで手数料などで赤字になる可能性が高くなることなども説明する。

 

仮にどうしても不動産を通すことを譲りたくないのであれば、まず具体的な話をある程度進めた上でこちらが納得できるような条件を考慮してもらいたいところだが、そういったことさえも言える雰囲気ではなく、ただただ作者のことを不審者のように思われている様子。

 

こちらとしては、個人売買するという約束のもとすでに契約書まで作成し、あとはそれで両者が納得できるかどうかすり合わせるだけの状態にはなっていたため、ひとまずその契約書を見て、信頼できる業者に相談するなり考えてみてほしいと提案する。

 

とりあえず息子としては「母に急に言われて、それも何を言っているのか皆目わからないような感じだから、もう少しちゃんと母にどういう話をしてきたのか確認してみますので少し考える時間をください」とのことで会話を終える。

 

こちらの印象として、例えば母親から話を聞いて納得できない部分があるとするなら、なぜ取引相手である作者に撤回や変更を求める連絡をすぐに行わないのだろう、ということだ。2週間以上前に戻った母親もすぐ息子に伝えると言っていたため、聞いていなかったわけではないと思われる。作者の感覚では2週間の間レスポンスがなければそれは同意したとみなし得ることであり、仮に同意していないのに連絡を寄こさないのだとすればそれは不誠実な人柄と判断してしまう材料になってしまう。

 

相手がある上での交渉事でもあるし、遅きに失することも充分に考えられる。こちらとしても人生がかかっていることであるため、例えば拒否したいならしたいでこちらのことも考慮されるような誠意ある対応を求めたいと感じた。

 

そして、この息子とのやりとりが今後も継続して作者にストレスを与え続けることになっていく。

 

物件購入の顛末E

続きを読む≫ 2019/04/20 07:54:20

当初は売る側買う側ともに前のめりですぐにでも取引成立とも思われた物件だったが、やはり思わぬところに落とし穴が待っていた。物件などというものは100%理想通りのものは存在せず、8分9分希望が満たされていさえすればまずまず希望どおりということで話が進んでいくものと思う。

 

だが、それも両者の思惑が熱いうちに契約に辿り着ければの話で、手続きなどに無駄に時間がかかりすぎることになるなど冷静に考える時間ができると、今度は悪い点やデメリットのことばかり見えてきてしまう。

 

前回までの話でとりあえず契約の前段階までに必要な手続きはほぼ全て完了した。だが、全ての権利移転ができるのが最速でも半年以上先(厳密には半年後に農振除外されたとしてもそこから地目変更・登記移転などでさらに2カ月前後先の話になることが予想される)になることがわかってしまった。

 

作者としてはもちろん、現状有姿売買で瑕疵担保責任のない話になることを前提としての口約束であったため、一つ大きく気になる点が出てくることになる。

 

それは、納屋の屋根に開いた穴のことで、現状では雨雪があるたびにそこから水が漏れ、中の構造材を侵食し始めている。まださほど古い穴ではないと思われ、材もまだ腐食しきるまでには至っていないため、できるならすぐにでも応急処置するなどの対応をしておきたい。

 

すぐに契約できるならそれも可能な話であったのだが、半年以上後のことになってしまうと確実に状態は悪化してしまう。買うことがわかっていながらみすみすそれを指をくわえて見ていなければならないのは理にあわないし、歯がゆいことでもある。

 

ただ、業者に数万円支払ってやってもらうのは契約金額的にもセルフリノベーションをするという観点からも避けたいところだ。だが今の状態では所有者側に穴埋めをやってくれというのも金銭負担的に言いづらく、かと言って作者側がやることに対する正当性が全くない。つまりお金をかけて修繕しても自分のものになるかどうかわからない状態ということだ。

 

そこで作者が考えたのが、早々に手付け金を支払って仮契約を結んでしまおうということだった。通常、仮契約というものを行えば所有者は物件の現状維持に対する義務が発生する。また、どちらかが不当な理由から売買の取り消しを行った場合に法的な保証(金銭負担など)を得ることができる。

 

つまり、仮契約を行うことで所有者側に現状維持(つまり屋根の穴修繕)義務が生まれ、買い手側としてそこまで厳密に責任を問わない代わりに、もし売買成立しなかった場合の補償の念書だけをとっておき、作者側で修繕を行えるようにしたいという話だ。

 

繰り返し言うが、本来これは所有者側になんとかしてもらいたい種類の話だ。ただ業者に依頼するには取引金額自体が低いため言いづらい部分があり、かといって自身で色々考えてもらうには遠い場所に住んでいることがネックになる。そういう理由から万一の場合の補償は所有者側の負担という条件の上、作者が修繕をやらせてもらいたいという提案だ。

 

この提案に対し、所有者はもちろんそれがいいという姿勢で合意される。後はそこに至るまでの仮契約書を作成することと、修繕にかかる念書を作成することを目下の目標とした。

 

この時点で所有者(Mさん)はひとまず迅速にやっておかなければいけないことがなくなってしまったため、静岡に戻られることとなる。次は農振除外が降りて暖かくなった頃に残りの手続きをするため再会を約束し、お別れとなった。

 

そして、この話が両者にとって希望に満ち満ちているのは結果的にここまでで、今後様々なことから作者の思惑は外されていくことになるのである。

 

物件購入の顛末D

続きを読む≫ 2019/04/20 06:56:20

ここでは、具体的な金額設定と検討内容を紹介していきます。

 

まず総予算の話ですが、現金一括で支払う予算をMAX1000万円で設定しています。これは、改築まで全て終わってさあ住めるという段階までの総予算という意味で、検討段階で予算内に収まるかどうかの見積もりを出します。わかりやすいように、物件購入以外で費用がかかる部分を予め出した上で検討していきます。想定している部分を列挙してみると、

 

@2階部分など増築してあったりすると、撤去費用、場合によっては修繕費用が発生

家屋は平屋建てに限定したいと思っています。建築当初から2階建てであった物件を選んだとしたら話は別ですが、もともとの平屋が増築などによって2階を作っていたりする部分は減築・もしくは撤去になるでしょう。金額目安は規模により変わりますが業者依頼せざるを得ない部分などが入ってくると〜100万円ほどでしょうか。

A構造上重要な部分(土台・屋根・柱・梁)以外の自分でやる部分の改築費

基本はほとんどこの部分の費用になります。材料費だけになるはずですが、幅を大きくみて〜200万円くらいに設定しています。他の部分で費用がかからない物件であれば、建具などこだわって費用が上がる可能性もあります。

B上記架構部分の業者依頼費用

ここが一番大きな出費になります。どの部分の改修が必要かで変わってくるでしょうが、150平米くらいの物件目安で屋根だけだと〜400万円、土台全てとなると〜300万円程度の見込みですが、具体額は事前に必ず見積もってもらうようにします。

C上水道・井戸水・山水の引き込み費用・もしくは水質調査費

上水道未接続地域では、井戸水か山水を引き込むことになります。現行使用できそうな井戸などがついてあり、水質調査費だけで済むようなら数万円程度。引き込み費用はボーリング深さなどにより幅があり、mあたり1〜10万円と幅広く、30メートル掘っただけでポンプ代なども全て含めると〜330万円くらいでしょうか。これは余りにも幅が広すぎるので事前予測と見積もりを必ずとっておくようにします。また、上水道接続地域であるにも関わらず「計画範囲内」という名のもと、現在水道管が通ってないような状態が一番不利な状況で、個別で引き込むと数百万のお金が援助も受けられず必要になります。

D合併浄化槽の設置等にかかる費用

下水道未接続地域では、地域にもよりますが浄化槽を設置するのが一般的です。費用は〜25万円くらいに考えておいたほうがいいでしょう。また、接続地域でも引き込み費用がかかることがあるため、事前の見積もりを必ずとるようにします。

E地域によっては専用の設備があり、それらの初期代金など

地域によっては組合のようなもので水道管を整備しているケースもあり、それを使用するための初期登録に〜30万円くらいかかります。そこから私水道管を引き込むとなるとプラスアルファで費用が発生する可能性もあります。

F過去に中途半端な改修・改築を行っているケースでの改装・改築費用

自分でやる部分の改築費に含んでもよいかもしれませんが、過去に中途半端な改修・改築を行っているケースがよくあります(古民家なのに内装だけが昭和初期だったり、一部の基礎だけコンクリベタ基礎だったり)。それらは可能な限りもとの状態に近いように戻したいので、余分に費用がかかる可能性があります。費用目安は〜∞

G状態不良の納屋や蔵が付帯している場合、撤去費用が発生

可能な限りはリノベーションする予定でいますが、屋根に穴が開いていたり、柱が腐って倒壊の恐れがあるなど解体するしか選択肢がないようなものも存在します。仮に納屋・蔵2棟と後付けトイレなどの小屋を解体する場合の費用として〜200万円程度見込んでおいた方がいいと思われます(セルフでもやれる規模の場合、額は廃棄費用のみとなり各段に安くなる)。

H個人売買ではなく、仲介業者が入っている場合、その手数料

個人売買の場合、手数料は一切必要なく費用を抑えることができますが、境界線の確定など正しい知識を持っていないと後々トラブルに繋がる可能性があります。ただし、逆に知識がある方には、個人売買の方がはるかにトラブルに繋がる可能性が少ないとも言えます。個人売買の場合、買い手側は納得するまで見て検討した上で購入するからというのがその理由で、逆に仲介業を挟んでしまうと、中には都合の悪いことを濁そうとしたり、わざと誤情報を書面でなく口頭で与えておきながら買い手側が泣き寝入りするなどのトラブルが発生しがちです。仲介業者の思惑が入ってくる限り、そのリスクを抑えることは容易な知識では困難ですし、その知識があるなら個人売買の方がはるかに安全であると断言できます。また、仲介手数料もバカにならず、例えば500万円の物件であれば21万円プラス消費税がかかってきます。

I登記費用(司法書士報酬)

これは必ず発生する費用になります。土地の広さなどにもよって変わってきますが、印紙代と司法書士手数料で10万円弱程度が相場と言われています(金銭授受の立ち合いも含めて)。あり得ることとして、例えば農地である物件を用途変更して雑地にしてから引き渡しなどとなると(農地法の関係で農業従事者以外に田畑は売れないなどの理由から)、プラス数万円の手数料が必要になる可能性もあります。売買の際はこの司法書士報酬を売主、買主どちらが持つかちゃんと話し合っておく必要があります。全てを仲介業者に任せてしまうといいようにボられてしまう可能性もありますのでご注意を。

Jネット回線の引き込み代

これは都会と同様、回線を電柱から自宅に引き込むための代金です。引き込みができる立地であれば高くても〜5万円程度かと思います。

K電気温水器を買うかリースした場合の代金

ピンキリですが、一般的なもので工賃込み〜30万円見ておけば間違いないでしょう。探せば20万円以内であると思います。

 

などがあります。これらは考えれば考えるほどシビアで、内容によっては2〜3項目が該当するだけであっという間に予算オーバーになってしまいます。ただ、上記想定金額の部分は最高値の予測をしているつもりなので、これより安価になるやり方はあるというものです。

 

自分の希望などと合わせると該当物件が本当に出るのかどうか疑わしいほどですが、実際に物件を見て回っていると、数少ないですが希望に近いものが実際に出ています。

 

場合によっては、タダでもいいから大事にしてくれる人にもらってほしい、なんて話も本当にあったりします。そういう話は全てこういった費用などを考えての上のことなので、ウマいだけの話ではなかったりします。

続きを読む≫ 2017/05/07 23:32:07

前述の項までにあるように、そんな古民家での生活を目標に動いている作者ですが、実際に物件を探すとなるとモノにより様々条件が違います。ここでは、普段私がどんな条件をチェックしながら物件を検討しているのかも考えてみることにしました。

 

まず、必須条件として、

 

@前述の古民家の枠組みに入るような物件であること

詳しくはこちらを参照してみてください。

Aインターネットは光以上のスピードが必要

妻の仕事上、必須のものとなります。判断の根拠は古民家ブログのこちらに叙述してあります。

B広島県内であること

一応、「帰郷」というのをここ10年前からのテーマに掲げていたのでこれは動かせません。作者もその妻も実家が県内にあるためでもあります。

C山・川・田畑どれかと密接である環境

これは単純に好みの問題といえます。というか、それ以外だったら普通に市内の現代的な住宅に住むでしょう。

D車3台を停められる場所があること

夫婦の乗用車が1台ずつ。作業用軽トラ1台。欲を言えば来訪者用の空きスペースもほしいところです。

 

これらを全て満たしているものを大前提として探してきます。

 

さらに、そこから自分の希望がどのくらい満たされているかのチェックと予算検討に入ります。具体的に挙げていくと、

 

E家から眺めたときにコンクリの建物が目に入らない

これは必須条件の中に入れてもいいくらい重要なことです。物件を初めて見に行ったとき、佇まいや雰囲気が良いかどうかで検討リストに入れるかどうかが決まると言っても過言ではありません。

F交通の便が悪すぎる場所でないこと

夫婦で暮らすにあたり、日常生活で使用する道が離合にも難渋するような細いくねくね道であったりすると、不便極まりないといえます。生活上の事故やトラブルを防ぐためにも重要なポイントかと思います。日々の通勤時間や雪道にも考慮したいところです。

G屋根の選択肢は瓦か茅のみで、寄棟でないのが理想(切妻か入母屋、もしくは越屋根)

単純に好みの問題です。あとは維持・メンテナンスの勝手の良さも考えています。

H隣家とある程度の距離があり、除雪の入る道への接続が容易であること

除雪は国道よりも県道など末端の方から優先的に入るケースが多いようですが、除雪が入る道に出るまで(私道・敷地内の部分)にどの程度雪掻きが必要かで日々の所要時間が変わってきます。隣家への距離は単純にストレスフリーの観点からです(騒音・話し声などを気にしなくていいレベルの話)。

I土間を一定以上のスペースとってあり、部屋数5〜6程度が理想(120〜150平米)

仮に改装されていて土間がなくなっていたとしても、敢えて改築して土間を再現したいと考えています。土間がない場合、部屋数は2つくらい多ければ問題ないでしょう。用途としては、濡れたものを置いておいたり、作業スペースや台所サブスペースとして。

J敷地は広すぎず、狭すぎず、家庭菜園やウッドデッキを設けるスペースがある

広すぎる敷地は草刈りなどの管理も大変になるため、無駄に広いスペースは必要ないと思っています。ただ、将来的に何らかの動物を飼う可能性も考慮し、それを見込める程度のスペースは確保したいところです。自家栽培、ウッドデッキ、それら込みで2〜300平米あれば申し分ないといった感じです。

K内見の際に屋根裏や床下までしっかり見せてもらえるかどうか

強く希望すれば見せてくれない業者などいないでしょうが、今後の関係性などを考えると、快く見せてもらえるような人と売買したいと考えます。特に、個人売買のケースでは納得いくまで見せてもらえるかどうかは瑕疵云々の問題にならないためにも必要なことと考えています。

L15分圏内にお店(スーパー・コンビニ・GS)、30分圏内に高速インターがある

どちらかと言われれば、インターへの連絡が優先です。遠出、帰省・通勤などに際してストレスフリーであることが個人的に楽しい生活に繋がると考えています。スーパーなどは場合によってはまとめ買いで済ませることも考えています。

M上水道が通っていること

私の希望する条件の物件でこれがクリアされているケースはほとんどなく、あれば素敵、程度の希望です。

N付帯物件に山林があること

なければないで購入意思に変化はないと思いますが、囲炉裏の薪集めなど誰はばかることなくでき、場合によっては炭焼き小屋を作ることも考えられるため、あるととても嬉しいかもしれません。

 

 

優先順位の高いことから順に書いてみました。「ふざけるな」という声が聞こえてきそうなのでそれぞれ解説も入れてみました。

 

実際に物件を見て回る時はこういう項目をどのくらい満たしているかをチェックし、検討材料にしています。上記はただの希望というくくりですが、次の項では現実的な問題に関しても検討していきます。

続きを読む≫ 2017/05/07 23:26:07

日本全国、行ける範囲で色んな古民家を見てきましたが、場所は違えど概ね共通することは何かを挙げてみようと思います。

 

尚、ご指摘は承りますが、何分素人の豆知識ですのでその点ご考慮いただければ助かります。

 

@築100年クラスの一般的な庶民が住んでいた民家は茅屋根であることが多い。

コスト面や材料調達面などからそうなっていると思われます。地域差はあるみたいですが、普段の生活の中で個々が茅を集めて束にしておき、近隣と協力しあって葺き替えをやっていたケースがよく知られています。そういう所では「萱場」といって個々が茅を集める場所が地区ごとに管理されていたそうです。

A茅屋根の場合、天井が高く俗に言う「だて二階」の部分に梁や架構材が多く使われている。

屋根裏が広いことによるメリットは、囲炉裏などから出た煙の緩衝地帯が作れたりすることかと思います。地域によっては積雪への対応から屋根勾配が急なものもあり、急であればあるほど屋根裏部分は高く広くなります。煙にいぶされ乾燥している場所でもあるため、茅束など乾燥させたいものを保管しておく場所でもありました。

B通気性を最重視した造りになっている。

湿度が高い日本の環境は元来が木造建築に適しているとは言えないかもしれません。木材の大敵は湿気であり、湿気が強すぎると腐食が早まったり、変形したりするためです。先人たちはそういう欠点を補うため、通気性にとことんこだわった知恵と工夫を随所に凝らしています。

C断熱性、遮風性には弱く、冬はとてつもなく寒い造りになっている。

基本的に寒さをやわらげる発想自体が建物にありません。壁は隙間だらけですし、床も材と材の間から地面が見えるようなことも当たり前にあります。そもそも、屋根を支える垂木とそれを支える桁の部分は空間が開いてますので虫なども入り放題です。

D囲炉裏はほぼ例外なく設置されてあった。

囲炉裏の用途はさまざまで、寒さをやわらげることや調理の場であったりの実用面でのこと。間接的には屋根材や柱梁などの耐久性向上などが挙げられます。木材自体もそうですが、茅屋根などは何もしなければ虫などにより浸食されてしまいます。そういった民家にとって有害なものを寄せ付けない意味でも屋根裏が煙で常に満たされている必要がありました。そのため、囲炉裏を使用しないと古民家の寿命はぐっと短くなると言われています。

E玄関を入るとまず土間があり、キッチン関係のものは土間に設置されているものが多い。

昔の発想として、住居にあたる部分に水回りを設置することがなかったようです。ほとんどの民家が家屋の中に住居スペースと作業スペースとで区切られてあり、カマドなどは土間にあるのが当たり前でした。また、雨の日などは濡れた状態で色んな動きをする必要があるため、それらは土間で行われていたと考えられます。

F基礎は土台や柱が地面に置いた石の上に乗せるだけの石場建てであり、免震構造になっている。

現行の建築基準法では完全に違法になります。現代の軸組み工法などでは一般住宅は布基礎かベタ基礎が義務で、それらは全て制震構造(がっちり固めて建物自体を揺らさないという発想)の観点からきています。古民家など伝統工法で作られたものは免振構造(固めずに揺らせることで地震力を分散させて逃がす発想)がとられています。どちらがいいかではなく、より職人の技術が必要とされた時代の建物であるという証のようなものでしょう。

G人がしゃがんで入れるくらいの高床式であることが多い。

通気性重視の項のとおりです。家屋の中で最も湿気が強い場所といえば床下になります。古民家再生においても土台や根太などの床下の材は最も損傷が激しく、再利用困難な部分と思います。そのため、少しでも高くして損傷を抑えることはもちろん、床下に石灰や木炭を撒いたり、通気を少しでもよくするため全方向吹き抜けの状態にするなどの工夫がみられます。また、多くメンテが必要な場所でもあるため、家屋のどこかに必ず入りやすい場所が設けてあったりもします。

H木材を空気に晒す造り(真壁構造)であることが多い。

柱などの耐用年数をより上げるため、真壁構造(壁で柱を覆い隠さず、柱が見える構造)になっているケースがほとんどです。木材は生きものでもあるため、家になってしまった状態でも呼吸をしています。呼吸がしにくい環境(大壁構造など柱を覆い隠す工法)だと20年持てばよしとされているほどです。しっかり呼吸ができていると、100年経っても頑丈で、樹液などを流したりします。欠点としては、よほど太い柱が使われていない限り断熱材を入れる余地がなく、寒さは防げないということです。また、例外として、妻側壁(屋根で壁が隠れない側)は構造上水漏れが発生しやすく、大壁構造としているものもあるようです。

I通気性の良い土壁を利用しているケースがほとんど。

コスト面や材料調達面も理由にあるかもしれませんが、これも通気性重視の項のとおりです。現代では、石膏ボードなどを張り付けて断熱材・上張りをしていきますが、古民家では、ツナギの役割として竹小舞と呼ばれる竹を縦横に編んだものを結びつけるだけで、その上から土壁を塗りつけていました。土壁は損傷は早いですが、壊れたとしても同じ材を使って修復が可能な究極のエコ材とも言えるかもしれません。

J生活の場である居間は田の字型に配置されていることが多い。

昔は地域の繋がりが強かったことはご存知のことと思います。冠婚葬祭など人が集まることが当たり前のようにあり、そういう場合には全室ふすまなどを取っ払って大座敷のような状態にして使っていたようです。

K居間を囲むように縁側や濡れ縁がついている。

昔の建物は母屋の構造部にそもそも縁側というものがついていませんでした。長年使用するにあたり、どこからでも出入りできる利便性などのために後からつけられたもののようです。そのため、今に残っている古民家でも、縁側や濡れ縁などは構造土台の外側についているケースが多く、簡単な独立基礎(礎石)などの上に置かれてあるだけだったりします。取り外しが簡単にできるケースもみられることから、祭事などに利用されたということも考えられます。

L排煙設備(妻側最上部に穴があったり、越屋根であったり)がある。

囲炉裏の項のとおり、囲炉裏は必要不可欠なものであったため、煙を逃す働きをする仕組みが必要だったと思われます。吹き抜け構造であれば当然、屋根裏に収まりきらない煙が住居スペースにも流れてくることになるため、風の流れなどを読んで配置されています。また、茅屋根の場合、煙が下に流れない構造(屋根裏と住居スペースに仕切りをつけて排煙設備などで屋根裏方向に一方的に流れる構造)にすると、屋根全体が煙をじわじわと吸い上げ、外からみると屋根全体が煙を吐き出すようになっているらしいです。ただし、火事にならないよう、煙の温度を上げない工夫が必要になるでしょう。

Mトイレ・風呂は基本、離れであった。

土間の項のとおりです。家屋内で水を使うことが前提としてあまり考えられていません。有名な五右衛門風呂なども古民家の歴史からすると現代の感覚に近いもので、屋内にある場合、後付けリフォームが多いように思えます。現行の古民家では、縁側の外側に後付けでトイレ小屋がついているケースを多くみかけます。

N構造上重要な役割を果たしている他の柱より頑丈な「大黒柱」があるケースが多い。

現代ではほとんど手に入らないか、あったとしても庶民が買える値段ではないような立派な太い材が家を支える中心部分に使われているケースが多くあります。とは言っても、どの家にも必ずというわけではなく、資金力や身分などの差により違いがあると推察できます。通常の柱の基礎は外周部でなければ大きめの石ひとつだったりしますが、30cm四方の柱の基礎などは大石が何個も敷き詰められて頑丈に固められています。

O主要構造部などの木材は今も生きているものが多く、古材として再利用が可能。

木材を大事にする構造であるため、100年を経ても何の遜色もないばかりか、建設当時よりも頑丈になっているケースさえあります。また、囲炉裏の煙にあぶされる位置にある梁や柱は真っ黒く炭でコーティングされ、虫も寄り付かず、意匠としても見栄えがぐっとよくなります。また、床材などでも無垢の一枚ものが使われている場合、いい古色が出ているため、リフォームの際もそのまま使えるものが多くあります。年を経れば減るほど味が増し、人間と同じように歴を重ねてともに成長していくのが実感できるはずです。

P農業・畜産などに利用されることがほとんどのため土間に家畜小屋がついているケースもある。

もともと古民家は住居というより、農家が効率よく毎日の仕事ができるための家屋として出発したようです。そのため、住環境を充実させるよりも農作業がしやすいための工夫の方がよりみられるといえます。農家が畜産業を兼ねたりしていると、家畜を飼育しなければいけませんが、離れや納屋のスペースがない場合などは母屋に直接家畜小屋がついているケースもよくあります。

Q材と材は継手で接合され、釘さえも使われない日本古来の伝統工法で作られている。

このあたりにも木材の特質を熟知した職人の技がみられます。継手とはただ単に噛み合うような凹凸をつけるだけではありません。木材が年月を経てどのように変化(膨張・伸縮・曲がり)するかまで完璧に計算された上で継いであります。例えば凹部に凸部を刺しただけではなく、凸部が凹部の中で膨張して抜けにくくなるといったことまで考慮されているらしいです。ここまでくると素人にはとても真似のできるものではありません。

R現代の価値からすると立派な材(太い柱梁や無垢材)がふんだんに使われている。

早い者勝ち、というわけではないでしょうが、今では同様の材を求めることが困難になっていると聞きます。ただ、再利用の項のとおり、古民家再生や移築再生でそれら貴重な材が再び使われることになり、使用されない場合も捨てられることなく古材ショップで売られていたりします。逆に、ツーバイフォーなどに代表される現代の在来工法などで使用された材は再生余地がなく、処分するしかないほど材に違いがあります。

S木だけで作られているものがほとんどで、新建材がないため、人体に優しい。

無垢材や土壁、あらゆる部位が自然のものだけで作られ、釘や金物さえも使われていないため、シックハウスなども起こらないと言われています。

 

長くなってしまいましたが、思いつくだけ挙げてみました。探せばまだまだあるでしょうが、私の探している古民家の定義があるとするなら、上記のような条件をまず満たしているものだと考えます。

 

自身でリフォームするにあたり、断熱性の部分と水回りの部分には予算とも相談しながら現代的な手を加えたいと思っています。

続きを読む≫ 2017/05/07 23:15:07

考えをまとめる前に、私が今まで目にしてきた農村や古民家といわれる場所のイメージが伝わるような写真をピックアップしてみようと思います。

 

白川郷

知らない人はいないほど有名な集落です。合掌造りの家が連なり、今現在も実生活の場として使われていることが感動的です。 古民家というと囲炉裏とは切っても切れないものと考えています。茅葺き屋根を効率よく維持していくためにも欠かせません。 このあたりでは、集落中の堀に魚を放していて、ニジマスやイワナ、鯉など普段共生は難しい魚たちが一つ所で泳いでいます。 古民家の屋根裏、蔵の中というとこんなイメージではないでしょうか。実際は、このあたりの屋根裏では養蚕が盛んだったようです。

大内宿

会津にある著名な宿場町です。大名行列が利用していた当時のものが現存する数少ない場所です。価値あるものを残す地元の方々の努力には頭が下がります。 やはり囲炉裏は切っても切れないものでしょう。日本家屋は冬の寒さに耐えれる造りではないため、暖をとる手段が欠かせません。 どのくらいの紆余曲折を経てこれらの状態を維持しているのか。そこには語りつくせないほどのドラマがあったことと思います。

その他

古民家といえば茅葺屋根ですが、維持メンテや使い勝手を考えると、瓦屋根も致し方ないのかなと思います。 機能的な水車小屋は古民家の雰囲気としては申し分ないですが、実用面で折り合いをつけないと宝の持ち腐れになってしまいます。 山林を所有できるようなら、こういう炭焼き小屋を作ってみるのは一つの夢でありましょう。
古民家、という定義には庄屋や武家屋敷などは含んでいませんが、城下町などにみられる町屋造りの雰囲気は好きです。 家の隣に護岸されていない小川があるような環境が一番の理想ですが、なかなか探すことは難しいかと思います。 完全吹き抜けにしてしまうと冬を越すことが大変になるため、断熱には工夫が必要でしょう。囲炉裏の間は必須といってもいいと思います。
一つの理想的な環境であると思います。これで周囲から山水を引いて常に利用できるようにしておけば言うことありません。 京都あたりのこういう洗練された玄関のたたずまいはとても参考になります。千本格子は是非設置してみたいものの一つです。 こういう田園風景も素晴らしいと思います。母屋の縁側から毎日こういう景色を眺めて過ごすと物の見方が変わっていきそうですね。
地域によって若干の違いこそあれ、基本的な古民家の造りはこんな感じで縁側が外周を半周するようについていて、入口には土間があり、部屋は田の字型に配置されています。 こういう庄屋的な玄関の佇まいもスマートに見えて好感が持てます。商業施設であるため、私が理想とする民家とは少し違いますが、ウッドデッキなど作ることがあればテイストを取り入れてみたいと思えます。 整然と由緒ある屋敷が並んでいるようなところではこういう整備された雰囲気がよく合います。
続きを読む≫ 2017/05/07 23:13:07