物件購入の顛末C
当初は売る側買う側ともに前のめりですぐにでも取引成立とも思われた物件だったが、やはり思わぬところに落とし穴が待っていた。物件などというものは100%理想通りのものは存在せず、8分9分希望が満たされていさえすればまずまず希望どおりということで話が進んでいくものと思う。
だが、それも両者の思惑が熱いうちに契約に辿り着ければの話で、手続きなどに無駄に時間がかかりすぎることになるなど冷静に考える時間ができると、今度は悪い点やデメリットのことばかり見えてきてしまう。
前回までの話でとりあえず契約の前段階までに必要な手続きはほぼ全て完了した。だが、全ての権利移転ができるのが最速でも半年以上先(厳密には半年後に農振除外されたとしてもそこから地目変更・登記移転などでさらに2カ月前後先の話になることが予想される)になることがわかってしまった。
作者としてはもちろん、現状有姿売買で瑕疵担保責任のない話になることを前提としての口約束であったため、一つ大きく気になる点が出てくることになる。
それは、納屋の屋根に開いた穴のことで、現状では雨雪があるたびにそこから水が漏れ、中の構造材を侵食し始めている。まださほど古い穴ではないと思われ、材もまだ腐食しきるまでには至っていないため、できるならすぐにでも応急処置するなどの対応をしておきたい。
すぐに契約できるならそれも可能な話であったのだが、半年以上後のことになってしまうと確実に状態は悪化してしまう。買うことがわかっていながらみすみすそれを指をくわえて見ていなければならないのは理にあわないし、歯がゆいことでもある。
ただ、業者に数万円支払ってやってもらうのは契約金額的にもセルフリノベーションをするという観点からも避けたいところだ。だが今の状態では所有者側に穴埋めをやってくれというのも金銭負担的に言いづらく、かと言って作者側がやることに対する正当性が全くない。つまりお金をかけて修繕しても自分のものになるかどうかわからない状態ということだ。
そこで作者が考えたのが、早々に手付け金を支払って仮契約を結んでしまおうということだった。通常、仮契約というものを行えば所有者は物件の現状維持に対する義務が発生する。また、どちらかが不当な理由から売買の取り消しを行った場合に法的な保証(金銭負担など)を得ることができる。
つまり、仮契約を行うことで所有者側に現状維持(つまり屋根の穴修繕)義務が生まれ、買い手側としてそこまで厳密に責任を問わない代わりに、もし売買成立しなかった場合の補償の念書だけをとっておき、作者側で修繕を行えるようにしたいという話だ。
繰り返し言うが、本来これは所有者側になんとかしてもらいたい種類の話だ。ただ業者に依頼するには取引金額自体が低いため言いづらい部分があり、かといって自身で色々考えてもらうには遠い場所に住んでいることがネックになる。そういう理由から万一の場合の補償は所有者側の負担という条件の上、作者が修繕をやらせてもらいたいという提案だ。
この提案に対し、所有者はもちろんそれがいいという姿勢で合意される。後はそこに至るまでの仮契約書を作成することと、修繕にかかる念書を作成することを目下の目標とした。
この時点で所有者(Mさん)はひとまず迅速にやっておかなければいけないことがなくなってしまったため、静岡に戻られることとなる。次は農振除外が降りて暖かくなった頃に残りの手続きをするため再会を約束し、お別れとなった。
そして、この話が両者にとって希望に満ち満ちているのは結果的にここまでで、今後様々なことから作者の思惑は外されていくことになるのである。
関連ページ
- 古民家イメージ
- 農村や古民家といわれる場所のイメージが伝わるような写真をピックアップし
- 作者が考える古民家とは
- 古民家を見てきましたが、場所は違えど概ね共通することは何かを挙げてみよう
- 作者の条件・希望
- 古民家での生活を目標に動いている作者がどんな条件をチェックしながら物件を検討しているのか
- 見積もりを出し予算検討
- 具体的な金額設定と検討内容を紹介していきます
- 物件購入の顛末@
- ここでは、私(作者)が物件を購入するに至った経緯などを記述しています。
- 物件購入の顛末A
- 集落の顔役であるN氏により集落中の空き家の案内を受ける作者。
- 物件購入の顛末B
- ここで作者が行った提案とは、つまり完全なる不良債権になるであろう山林をもらう代わりにもう少し金銭的に譲歩していただけないかというものだ。
- 物件購入の顛末D
- ネットなどを駆使しながら契約に関することを調べ、それなりの契約書が出来上がったのが約2週間後のこと。
- 物件購入の顛末E
- 前回までの話で息子と関わることで物件全体の負の印象が強くなってしまい、今後は購入の見合わせと両天秤で考えていくこととなる。
- 物件購入の顛末F
- 気持ちを整理するため、前回の息子のメールより2日間を空けて所有者に電話。
- 物件購入の顛末G
- 断りを入れてから2日が経過し、何のレスポンスもないことを確認したため、交渉決裂と判断し、所有者本人に入電する。
- 物件購入の顛末H
- それから3日が経過。まだ作者の中でどのような形で決着をつけるのか決めかねていたが、所有者(Mさん)に電話をしてみた。
- 購入物件の総括
- 今回は、私が購入した物件がどの程度希望に近いものなのか、はたまた遠いものだったのか、希望として挙げていた項目ごとに寸評してみた。