購入物件の総括
今回は、私が購入した物件がどの程度希望に近いものなのか、はたまた遠いものだったのか、希望として挙げていた項目ごとに寸評してみた。
@築100年クラスの一般的な庶民が住んでいた民家は茅屋根であることが多い。 |
|---|
| 母屋・納屋ともに瓦屋根であるため×。 |
A茅屋根の場合、天井が高く俗に言う「だて二階」の部分に梁や架構材が多く使われている。 |
| 茅屋根でないため×。ただ、納屋のほうは立派な材が多く使われている。 |
B通気性を最重視した造りになっている。 |
| 床下の構造、壁の形状など充分に考慮されているため〇。 |
C断熱性、遮風性には弱く、冬はとてつもなく寒い造りになっている。 |
| 断熱は全く考慮されてなく、夏以外はかなり寒い時間帯がある。虫は入り放題であり〇。 |
D囲炉裏はほぼ例外なく設置されてあった。 |
| 母屋・納屋ともについていないため×。 |
E玄関を入るとまず土間があり、キッチン関係のものは土間に設置されているものが多い。 |
| 勝手口を入ると土間になっており、キッチンも土間設置。納屋の土間は三和土であり〇。 |
F基礎は土台や柱が地面に置いた石の上に乗せるだけの石場建てであり、免震構造になっている。 |
| やや進んだ時代の石場建てに分類され、免震構造であるため〇。 |
G人がしゃがんで入れるくらいの高床式であることが多い。 |
| 高床式であるため〇。 |
H木材を空気に晒す造り(真壁構造)であることが多い。 |
| 母屋・納屋ともに真壁構造であるため〇。 |
I通気性の良い土壁を利用しているケースがほとんど。 |
| 母屋は外壁漆喰、内壁が砂壁になっている。納屋は全面土壁であり〇。 |
J生活の場である居間は田の字型に配置されていることが多い。 |
| 面積は狭いが立派な田の字型であるため〇。 |
K居間を囲むように縁側や濡れ縁がついている。 |
| 母屋の正面側、裏側ともに濡れ縁があり〇。 |
L排煙設備(妻側最上部に穴があったり、越屋根であったり)がある。 |
| 母屋には一切の排煙設備がないが、納屋には両妻面に付いているため〇。 |
Mトイレ・風呂は基本、離れであった。 |
| 建築時から家屋内にある造りであるため×。 |
N構造上重要な役割を果たしている他の柱より頑丈な「大黒柱」があるケースが多い。 |
| 大黒柱と言えるほど目立つ柱はないため×。 |
O主要構造部などの木材は今も生きているものが多く、古材として再利用が可能。 |
| 一部弁柄にしているところもあるが、立派な樹液を出しているため〇。 |
P農業・畜産などに利用されることがほとんどのため土間に家畜小屋がついているケースもある。 |
| 母屋は狭いが、納屋にはちゃんと壁で仕切られた独房式の牛舎が2つついているため〇。 |
Q材と材は継手で接合され、釘さえも使われない日本古来の伝統工法で作られている。 |
| 詳しくは現時点でわかっていないが、見える範囲で釘が使われている部分は少ない。継手での接合が多くみられるため〇。 |
R現代の価値からすると立派な材(太い柱梁や無垢材)がふんだんに使われている。 |
| 母屋はさほどでもないが、納屋には立派な材がふんだんに使われているため〇。 |
S木だけで作られているものがほとんどで、新建材がないため、人体に優しい。 |
| 母屋の外側の屋根に鉄骨やトタンが使われている。納屋の一部にもコンクリが使われている箇所があるため×。 |
上記の通り、該当するものが14、該当しているとはいえないものが6となった。1つあたり5%といえるため該当する方が70%となる。佇まいや雰囲気から「古民家ではなく、昭和初期頃建ったただの古い家」と定義してきたのだが、思った以上に古民家度は高い数字だったといえる。
続いては、建屋以外の部分の採点。
@前述の古民家の枠組みに入るような物件であること |
|---|
| 前の20項目の検証で70%という結果が出ている。厳しく採点したとして△。 |
Aインターネットは光以上のスピードが必要 |
| 回線を繋げようと業者を呼んだら実は光が繋げられない地域に該当していた、というような青天の霹靂がない限り、事前調査では繋がる地域となっているため〇。 |
B広島県内であること |
| 文句なく県内であるため〇。 |
C山・川・田畑どれかと密接である環境 |
| 裏山を所持していて家のすぐ下を小川が流れている。外に出れば田んぼだらけで家の庭にも畑。文句のつけどころがなく◎。 |
D車3台を停められる場所があること |
| 倉庫を壊して駐車スペースにする予定であるため〇。家の周囲の道路にも停め放題。 |
惜しむらくは、全15項目中最重要項目に掲げていた@の古民家に分類できる家とはいえないことである。一番大事な部分が70点だがその他の部分が100点という感じで、そこをどう捉えるか。
ここからは、全15項目の中でも優先順位の低い10項目が並んでいる。
E家から眺めたときにコンクリの建物が目に入らない |
|---|
| 集落全体で約20棟の母屋があり、その全てが木造である。農業法人の建物が2棟あり、それのみモルタル壁、トタン屋根になっている。文句なく〇。 |
F交通の便が悪すぎる場所でないこと |
| 山に囲まれた集落だが、外部へ出る道が2本ほどあり、不便な点は全くないため〇。 |
G屋根の選択肢は瓦か茅のみで、寄棟でないのが理想(切妻か入母屋、もしくは越屋根) |
| 母屋・納屋ともに瓦屋根であるため〇。 |
H隣家とある程度の距離があり、除雪の入る道への接続が容易であること |
| 周囲は農道であるため除雪は入らないが、積もっても2〜30pの地域であるため除雪の必要性はない。隣家が一件、川を挟んだ向かいにあり、理想としていた状態よりはやや近い。だが、その他の家は声が聞こえる近さではないため△。 |
I土間を一定以上のスペースとってあり、部屋数5〜6程度が理想(120〜150平米) |
| 母屋が古民家とは言えない上、面積も狭く理想通りではないが、納屋の方はまるまるこの理想通りであるため〇。 |
J敷地は広すぎず、狭すぎず、家庭菜園やウッドデッキを設けるスペースがある |
| 敷地を詳しく定義していなかったが、山林も入るとすると×。ただ、山林は枝打ちなどする予定はないし、求められてもいないため特に面倒事がなく、考慮外としてもよさそう。敷地を宅地のみと定義すれば、家庭菜園やウッドデッキを設けるスペースがちょうどある程度で〇。 |
K内見の際に屋根裏や床下までしっかり見せてもらえるかどうか |
| 全て好きなだけ見せていただけたし、いつでも自由に見に行ける状態にしていただいていたため◎ |
L15分圏内にお店(スーパー・コンビニ・GS)、30分圏内に高速インターがある |
| 高速インターまで10分、大型スーパーやコンビニ・GSまでも10分、妻の実家まで10分という理想通りの場所にあるため◎ |
M上水道が通っていること |
| いつでも引き込みできる状態になっているため〇。 |
N付帯物件に山林があること |
| 2ha以上の山林がついていたため〇。 |
隣家との距離が唯一の及第点ではないところだが、その他はほとんど理想通りの完璧な条件になっている。
トータルで考えると、数少ない不満点としてやはり古民家とはいえない母屋であることと、隣家がある程度近いことが挙げられる。最後の最後まで古民家という部分で悩むところはあったが、値段の安さの誘惑に勝てない形となった。
ただ、母屋が古民家といえるものであれば最高だったのだが、環境という面から考えたとき、安芸高田市の道を隅から隅までほとんど全て走って見てきた作者がこれ以上の場所はないと断言できるほど自分の好みに合う環境であり、その点には大変満足している。
具体的にどのような環境かを挙げてみると、主要道(県道)へのアクセスが容易な割に周囲を山に囲まれている一見隔絶されたような雰囲気のある場所で、通り過ぎるだけの車の音を聞くことすらないような場所であること。
他の集落ではほとんど必ず目にするソーラーパネルや獣害対策用の囲い網などが目に見える範囲に全く存在せず、文明の臭いのする建物・設置物がほぼ皆無という環境(夜に電気が点くのは街灯のみ)にありながら、市の中心地まで10分程度という便の良さ。
また、希望としては特に挙げていなかった項目だが、周囲をとりまく生物生息状況の点も作者の満足ポイントになっており、これまで特に触れてはいなかったが、周囲の山からはトビやウグイスの声が常に聞こえ、飛んでいる鳥なども非常に多種多彩である。
かと言って農被害のある鹿や猪が出放題かというと、集落の見えない外周に囲いをしてあるため、他の集落と比較すると極めて少ない。初夏にはホタルが飛び交い、脇を流れる小川にはオオサンショウウオの巣が点在しているようだ。まだこれからだが、水棲生物の調査をするのも楽しみでしょうがない次第である。
以上の点などから、母屋の残念さはあるものの、作者の探してきたものの中で100点に最も近かった物件であり、これ以上の物件は市内には存在しないと言い切れるものであった。
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