古民家についてのまとめ

物件購入の顛末A

集落の顔役であるN氏により集落中の空き家の案内を受ける作者。案内を受ける中で、持ち主がすでに売りたい気持ちを持っている数軒の家を優先的に案内され、その中に今回商談成立した所有者(Mさん)の物件があった。

 

だが、実はその最初にN氏により案内されたとき、作者の中ではその物件は古民家に該当しないため検討の優先順位が低く、他の古民家の持ち主と優先的に交渉を進めていくこととなる。

 

そして、その中で最も現実的な方向で話が進んだのがFさんという方が所有する古民家であり、以後はこちらの持ち主と家に集中して交渉と検討をしていくことに決まった。実際にはそうはいかないかもしれないが、Fさん本人からは「この家を再生して使っていただけるならタダでもいいと思っている」という言葉もきかれる。

 

しかし、その物件は立地条件や家屋の状態が想像以上に悪く、日々の最低限度の生活をするための必要最低限の基礎修復をするだけで400万円以上の見積もり結果が出、さらに必要な改修を進めていくとなると作者の予算をオーバーしてしまう可能性が高い。

 

かつ、どういう理由かはわからないが、固定資産台帳を見せていただく要請をした際に「見せたくない」という反応を示されたり、建物登記がFさんの祖父にあたる故人の名義になっており、登記移転が簡単にできない状態であることもわかった。

 

それらのことがわかるのとほぼ時を同じくして、改修業者の相見積もりなどで現地に通っていたとある日に、冒頭に触れた所有者(Mさん)が帰広して集落に滞在されていたため、図らずしてN氏に紹介していただいたという一種の「縁」というものを感じさせる巡りあわせとなった。

 

所有者(Mさん)と話をしていくと、以前より誰も住むことのなくなったこの空き家物件の行く末が心配で、できることなら売ってしまいたいと思っていた様子。そこへN氏から今集落に空き家がないか売り手を探している人が来ているよ(作者のこと)という情報を得たのだという。

 

もともと、諸々の片づけ等で近日中に寄る予定だったようで、それを聞いてすぐに帰広を決意したとのことだ。あとはこちらの来歴などを色々話す中で「あなたのような人に是非買ってもらいたい」とアピールされる。

 

話す中でMさんの人柄が好もしく思えたこともあり、「物件自体は自分が好むような古民家ではないが、環境は川沿いにあり文句のつけどころもないし、こういう人が相手ならこれも一つの縁かもしれない」と思うようになっていく。

 

そうなれば話はトントン拍子に進んで行く。所有者と具体的に商談を行うにあたり後々のもめ事の種は全て除去しておきたいため、Mさんの相続者にあたるご子息を交えて話を進めることを提案する。

 

すると所有者の答えは、「私には息子と娘がいるが両方とも静岡に居を構えていてこちらの物件には戻る可能性もなく、今後持っていてもしょうがないので私が全部責任を持って売ってくるという話をしてきている。そういうこともあってこの話に子供が出てくることもないし、私のやりたいようにやるよということで決まっているから子供を通す必要はなく、ここで決めて帰りたい」と強く主張される。

 

後々考えればこれが事態をややこしくする最大の原因となってしまうのだが、この瞬間の私にはそこまで考えられるスキルも経験もなく、ただ相手の言うことをそのまま鵜呑みにしてしまう。

 

諸々の話やお互いの売買に対する意思を両者がある程度把握した後、物件交渉の肝となる金額の話に移っていった。大きなお金が関わると人は鬼にも蛇にもなるということを身に染みて知っている作者が最も緊張した場面だったかもしれない。

 

結論からいうと、そんなあらゆる手段を想定しながら構えた作者が恥ずかしくなるほど、Mさんには私心がなく、「私はとにかく、自分が生きているうちにこの家をいい形で処分してしまいたい。同じ売るにしても作者さんのような意義ある人に買ってもらいたいし、これを売って利益を得ようなどとも全然思っていない」

 

「そういう意味で本当はタダでもいいと思うくらいなんだけども、そういうわけにもいかないだろうからせめてこちらに赤字が出ないくらいの金額でいいと思っている」と50万円という金額を提示される。こちらにとってはとてもありがたい金額設定だ。

 

ただ、それだけの条件の中私が一つ気が進まないことがあったのが、所有者の持つ膨大な山林(総計2ha以上)であった。所有者が今回私と売買の対象としたい物件は全部で28筆という個人が買うには途方もない量の不動産である。

 

しかも、そのうちのほとんどを占める山林は全て例外なく境界が定かではなく(所有者含め誰も知る人間がいない)、所有権を得たとしてもほとんど使用できないままただ固定資産税を支払い続けることになるだけの不良債権になることがほぼ確定のものであった。作者がざっと計算しただけだが、年間あたり5〜8000円くらいの額の税を山林のためだけに支払うことになると予想された。

 

逆に、全てを堂々と使えるようにしようとすれば土地家屋調査士に境界確定の依頼が必要で、20筆以上もの山林の境界確定にどのくらいの金額がかかるかなど想像もつかず、数百万円は下らないだろうからそちらを選択することも非現実的であろう。

 

所有者の人柄がよく、気持ちよく取引できそうな物件ではあるが、山林の所有が最大のネックとなりこちらの気がなかなか乗ってこない。もともと山林を所有することは作者の理想にも含まれているのだが、境界確定がなされていないというのがこちらの気を重くした。

 

所有者との交渉の中でそこらを計算した作者は、ダメ元である一つの提案をしてみることにした。

 

物件購入の顛末B

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