物件購入の顛末F
気持ちを整理するため、前回の息子のメールより2日間を空けて所有者に電話。「息子さんは売ると言ったり売りたくないと言ったり対応に誠意が全く感じられない。Mさん本人との取引と思って信頼してここまできたが、息子さんのことは全く信頼できそうにないので、今後もどうしても息子さんを通すことになるのであればこの話はなかったことにさせてもらおうと思っています」と決意を伝える。
所有者より電話口で「やっぱりお会いしたことがないことが引っかかっているんだと思う。もう一度息子に言ってみる」との返答。ただ、正直なところ、この問題は会っているいないで解決する類のものではなく、人間性の問題であるため、今後もこちらの疑念が消えることはなさそうだ。
しばらくしてから息子より入電あり。「私は個人売買というのがどうしても不安。それで過去に痛い目にあったことがある。できれば今後は不動産屋を通して話を進めていきたい」「実はもうH不動産というところに相談していて、そちらさえよかったら電話でもしてもらえれば話が通じるようになっている。作者側に損はさせないように配慮するからこれで進めさせてもらいたい、一度電話してもらえないか」とのこと。
手前勝手な申し出で気分が悪かったが、こちらに損はさせないとまで言うのなら最後に騙されたと思って提案に乗ってやろうと思いなおす。これでダメならその時は破談ということでいい。それに、これ以上息子と直接やりとりするのは作者の精神衛生上にも良くなかった。
そのまま通話を切り、H不動産に入電。今までのいきさつ、通常不動産屋や仲介業者がやるべきことをこちらがほとんど全てやってきていることを改めて説明。不動産屋の言葉からも、「私が今さら間になど入らない方がいいのではないか」など遠慮の声が聞かれたが、こちらもこれ以上直接息子とはやりとりする気がないため、仲介することを了承する。
H不動産から、息子からは実は今回が初めての接触ではなく、以前売買価格の妥当な値段を相談されていたと打ち明けられる。掘り下げて聞いてみると、その不動産屋の見積もりでは80〜100万円くらいではなかろうかと伝えたとのこと。
なるほど、こちらの印象としては恐らく息子から不動産屋に対して売値が安すぎて納得いかない旨の打診があったのだろうと推測。それもこの物語のかなり早い段階で、恐らくこちらが契約書を送付したタイミングか、それ以前と思われた。また、不動産としても取引額が安いと思った可能性があり、プロの目から適正価格的なものを暗示することにより値段交渉をしようという肚が伝わってきた。
こちらとしては、出る杭は打っておかなければならない。不動産屋に対し、値段が相場よりも安く決まった経緯と、手続きにかかる費用も売り主側負担という不利な条件であるのは山林などの不良債権をもらうことと、動産の処理を全て引き受けることも条件に入っているからだと説明。値段的に一歩も譲る気はないと暗に伝える。
それから3日ほど後、H不動産から電話。「ことが事ですし、登記や転用、境界線の確定などこれからも売り主側に費用がかかりそうな問題山積みでとても依頼主に利益を出せそうにありませんので仲介をお断りさせていただきました」との報告を受ける。
それを受け、息子に携帯メールにて意思の確認を行う「今後どうしていかれますか」、息子より返信「明日、母と話をしてきますが、不動産屋が間に入ってくれないのなら私は反対です。母と相談してきます」。「では明日話し合いの結果をお知らせください。お待ちしています」
予想通りの結果だが、それから4日が経過したが何の返信も来ない。作者もこれを最後にするつもりで息子にメールを送信。「失礼ながらそちらはこちらを取引の相手としては見ていないようですね。もうリミットにしたいと思いますので結論をお聞かせください」
そのメールを送信後、今までにない速さですぐに息子より返電あり。「母と話しましたが作者さんに売りたいと思っていますので不動産屋に再度依頼してみます。境界線などで利益を出すことが難しいようなので、不動産には条件を変えて、山林などは今回は売らない方向で話してみるつもりです。母も不動産屋の話をきいてすぐに司法書士事務所に建物登記の依頼を出しました」
相変わらず相手を無視した形で話を進める息子に対し、怒りを禁じえない。「そんな大事なこと、こちらに何の相談もなしにそちらの独断だけで勝手に進めていこうというのはどういうつもりなんですか?こちらに報告さえもしないなんておかしくないですか」不愉快が積もり少し冷静に話せていない。こんなことならもっと早い段階で破談にしておくんだったと何度も思った。だがどのみち不動産の言動から結果はすぐに出るのだ。こちらから破談を伝える必要はまだない。
翌日、H不動産より電話。「やはりどうしても仲介してほしいということだったので私が間に入ってもよろしいでしょうか」了承し、さらに話を聞いていくと、「息子さんの意向で母に少しでも財産を(お金という形で)残してあげたいということで少し金額や双方負担していくものについて相談させてください」この段階にきて、ようやくこのやり取りの核心となる部分に触れてきた。
こちらとしても、息子がこの売買契約の金額を安いと感じているであろうことは想像に難くない。そんなことは最初からわかりきっていたことだ。ただ、息子はそれに対する交渉の仕方を初手から誤ってしまった。それが全てであり、ここまで面倒になっている大元の部分であろう。最初から誠意をもってすぐに作者に電話し、少し金銭的な部分を交渉させてくださいと言っておけば、作者は必ずそれに応じたはずである。
ただ、今となってはもうこのH不動産と作者の知恵比べのような形になってしまっている。作者としては、こちらに損はさせないよう努めるとした相手に対して初手から譲歩などする気もないため、境界確定のない完全な不良債権である山林を引き受けるのだから値段交渉や負担分担交渉などには応じられないと突っぱねる。ただし、山林を含まない契約でいいのであれば多少なら相談に応じても良いということを付け加えて。
作者としては、そもそもこの物件を買おうと思ったきっかけが所有者の人柄と値段の安さにある。今現状をみてみると、そのどちらとも引き離されたところで契約を決着するような状態になりつつあることが何より不服だったし、もともとが家そのものに惚れ込んでこちらから是非にという姿勢でもなかった。こんな状態であれば契約しなくてもいいとさえ思っていた。
それから一週間、不動産屋より全ての見積もりが出終わったと報告の電話。当初の話どおりだと建物の登記にかかる費用も所有者持ちということでその費用が18〜20万ほどと見積もられた。このままだと売り主側に全く利益を出すことができない状態になってしまうため、なんとか表示登記なしで購入していただくということでご納得いただけないかとの打診。
作者の構想上でもそのくらいはもともと譲ってもいい部分だったため、その旨を了承する。息子に対し、少しでも利益になるような不動産の説得に一度折れる姿勢を敢えてみせることとした。
その3日後、不動産より見積もり内容を息子に伝えた結果、利益の少なさに悩んでいる様子だったと報告あり。近日中に返答をもらえるよう伝え済みとのこと。もうこの時点で、さらに上乗せしてくることは読めていたので、あとは交渉決裂するのにどういう流れになるのかだけを考えていた。
さらに3日後、息子からの最終条件が出たとのこと。最低40万円は利益を出したく、手数料や不動産費用など全て込みで25万円(建物登記費用は含まず)ほど費用がかかる計算になるため、前出どおり建物登記なしの上、65万円で買ってくれるならとのこと。正直にいえば、この程度の条件であれば、相手側がちゃんとしたプロセスを踏んでさえいてくれれば快く受け入れることができたであろう条件である。
ただ、こちらとしてはもう完全に開き直っている状態だったため、「不動産に依頼するしないの話をした際、こちらに損させないように配慮するといったのは嘘だったのか。こちらはすでに不動産への仲介料と消費税で5万弱、登記なしでの購入ということで20万弱、併せて25万程度の金額をすでに泣いている。そこにきて前言を無視したような要求をするなど気持ちよく頷けるわけがない」
「それにこちらにとってこの契約はあくまで所有者(Mさん)との契約という意識でここまで進めているし、仮に代理人として息子と金銭交渉するとしても、こちらはすでに今までのやり取りの中で結果的に嘘をつかれたりするなど不愉快なことが多く、息子に対して全く信頼や譲歩するだけの材料がない。もう充分物件自体にケチもついてしまったし、今回の話はなかったことにしましょう」と正式に断りを伝える。
H不動産としても内心、作者と息子の話が破談して自身の見積もりの上で売買したいに違いなく、また息子との間でそういう状態に持って行きたいと事前に打ち合わせていたのかもしれず、その証拠として、「そうですよね。わかりました。今回はこんな結果になってしまいましたがまた次回なにかご縁がありましたらよろしくお願いいたします」とあっさり最終的な挨拶をされる。
以上の流れで、正式に破談ということになってしまった。
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